第10章 琥珀色の闇*
そして今は愛おしいと思う。
彼の背中に腕を回し、温めるように撫でる。
「………私は、静さんがとても好きみたいです」
「俺は愛している」
「………」
負けず嫌いなんだろうか。 急に熱くなる頬を意識すると同時に、こめかみや耳にキスを落とされる。
「だから、信用してないなどと言わないで欲しい。 俺はずっとキミが俺の事を好いてくれると思えるほどは自惚れていない、それだけだ」
「静さん………? どうしたんですか。 熱でもあるんですか?」
やけに弱々しいというか、いつもの不遜な態度が見えない。
「キミが俺を苛めるからだろう。 出て行くなどと言われて、容易に手が出せなくなってしまった」
「あの、ではなぜ、先ほどから私のお尻を触って………?」
ずっとモゾモゾサワサワと揉んだり撫でたりしていた静の手がピタリと止まった。
「最近キミを抱いてない。 体の調子は? 帰りが遅かったのは我慢していたせいもある………と」
返事の変わりに透子がすり、と静に火照り始めていた体を擦り付けた。
想いは快楽につながるらしい。 静に教えてもらった事だ。
彼の優しさや思いやりが嬉しい。
けれども。
「私も…我慢していたのだと思います」
欲を帯び始めた静の瞳を見るだけで、肌が粟立つ。
上着を脱ぐ時間も惜しく静が透子の唇を犯した。