• テキストサイズ

琥珀王子と瑠璃色灰かぶり姫

第9章 讃えられる寂しさ




「────つまり、貴女の主張をまとめるとこうなのですね」


一階の来客室にて。

大きめの応接室を思わせる室内では、その女性と青木が対面で向かい合っている。
透子と各従業員は脇のソファに並び、困惑顔で彼らを遠巻きに見守っていた。

男の子はお腹が空いていたのか、出されたクッキーなどのお菓子をガツガツ口に運んでいる。
勢いよく音を立ててストローを吸い込む様子に、青木がほんの少し眉をひそめた。

「貴女は米国人で、ある男性と………ええ。 ゴホン。 関係を持ち、その結果、妊娠して出来た子がその子供、と。 相手の男性は日本国籍で、八神と名乗ったに間違いございませんね?」

「しかし、それだけでは本人とは分からないのでは」

「丸井物産ってトコはアンタんとこの会社だろう? いいスーツ着たデカいリムジンで、部下らしい人と話してたんだ」

「DNA鑑定なら、うちの大学病院で二日で結果が出マスよお。 然るべき手順ガン無視で」

上から青木、三田村、その女性、美和の会話である。

「とはいえ、間違いないでしょうねえ。 男の子の目元なんかホラ、そっくりですもの」

「本当に………困ったものです」

桜木とまた青木がため息をついて目を伏せる。

透子にはその子と静が似ているのかどうかは分からなかった。
ブラウンの髪に瞳の色。
顔立ちが整っているのとハーフなのは間違いないにしても。

「その子と…お二人で日本に来られたのですか」



/ 457ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp