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琥珀王子と瑠璃色灰かぶり姫

第8章 満天の夜に



****

「あれ? トランポリンは? 今日は車ではないのですか」

「すでに撤去済みだ」

ぷたぷたぷた………

家の外に出た静と透子は、白井家の前の道路を歩いた。
手を引いて前を歩く静がどこに行くのか。

わざわざ助けに来てくれた、そのお礼を言いたかった。
それから、今後の事について。
自分は一から生活を立て直さなければならない。

「静さん、私は」

「なんだね」

「私は何も持っていません。 でも叔父から、少しお金をいただきました」

「………」

「静さんにはご迷惑をお掛けして………助けていただいて。 それなのにお世話になるにも心もとなく。 今は足りないかもしれませんが必ず」

「明日にキミの身分証などの必要な物は取り返す。 だが俺は」

ぷたぷたぷた………

ぐいと透子の腰を引き寄せ、密着した体と共に頭の後ろに手を回す────有無を言わせなく、強く、押し付けられる唇に、透子が目をしばたたかせた。
自らとの間に挟まれた手のひらに静の胸があたる。
膝が震えて力が抜けそうになった。

「ぅッ……っふ…」

体温と僅かな体液………が、透子の体に流し込まれる。
目を閉じていた静が薄らと瞼を開く。

「俺は気が気では無かった。 今俺の腕の中にいるのがキミならば、それでいい。 キミも同じ思いでは無いのか。 こういう時、戸惑いながらも必死で俺を受け入れてくれるのは?」

「し、しず………私…は」

「その理由を聞かせて欲しい」



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