第7章 閑話 百花繚乱*
「それについてはご心配は無用。 私にはすでに最愛のパートナーがおりますゆえ」
「………そうか。 良いことだ」
「ふふっ、では静様。 邪魔をしました。 存分にお励みなさいませ」
そして音も立てず素早く去っていく。
今さっき別れたばかりの、あの人たちはいつどこからやって来たんだろう。 そんなことを透子がぼんやりと考える。
「………有能であればある程、これも扱いづらいな。 女性の場合は」
「差し支えなければあの、三田村さんの懸念、とは………?」
「珍しくもないが彼女はビアンだから。 性欲を必要としない方の」
「な………なるほど………?」
世の中にはどうやら自分の知らない色々な世界があるらしい。
家に帰ったら調べてみよう、と思う透子の手首をやんわりと静が取った。
「キミは?」
「え?」
「心があれば、俺からの行為は嬉しいか? 先ほどの言葉はそう聞こえたが、俺の願望か」
そうあからさまに訊かれると返答に困るも、照れるタイミングを逃してしまう。
あとは関係はないが、閉じられた布地の間に見え隠れする、静のきめ細かでいて逞しそうな肌に胸が鳴る。
「え、いやあの………」