第7章 閑話 百花繚乱*
桜木のその理屈は理解出来るものの、透子は別のことが気になった。
「分からないのですが。 なぜここの皆さんは、私に優しくしてくださるのですか?」
青木にしても。
率直に疑問を投げた透子に対し、三人は同じく不思議そうに顔を見合わせた。
「それは、静様の特別な人と青木様から聞きましたカラ?」
「仕事とはいえ、己の倫理観は見過ごせませんゆえ?」
「静様に言い寄る女性は後を絶たなく、お陰で今まで随分と迷惑を被り………?」
ややのちに、ぽんと手を打つ桜木にみなの視線が集まった。
「ああ、わかりました」
ふふ、と綻ばせた桜木の笑顔は春の花を思い起こさせる。
「透子様は、静様とすこおし似てらっしゃるのですわ。 なんとなく、放っておけないところが」
慎ましく丸襟で肌を露出しない長いスカート。 上品で落ち着いた桜木がここのリーダー格なのだろう。
「それに、とってもお可愛らしいですし」ウエーブがかった髪を揺らし華やかかつ満足気に微笑む、桜木の言葉に透子が首を傾げた。
白井の家では散々放置されているというのに。
「確かに……透子様に関しては。 私は静様のことはまだよく存じませんがなんというか、極端な人ですね」
「ナニかとナニかは表裏一体、ともいいマスし」