第7章 閑話 百花繚乱*
『とにかく、大事にならなそうで良かったです。 お引き留めして申し訳ございませんでした』
過保護だという青木にほだされでもしたのか。 そう思いながら浴室に向かう透子はやや早足で。
『でも静様の対応如何では、ちょっとお灸を据えることになりますねえ?』
『ふっ……望む所です。 多少は出来ると見ましたが、それでも私の敵では無い』
バキバキ腕を鳴らす二人をなだめつつ、透子はやっとお茶の場から離れることが出来た。
それにしても、三田村にそんな過去が。
だからあんなに強くなったのだろうか。
………なんにしろ、女性というものは多かれ少なかれ、そういう経験があるらしい。
それでも強く正しく美しく────彼女たちは透子の目にはとても眩しく見えた。
『謝罪よりも切腹を選ぶというのも、またブシドーに通づる』
加えてそんな美和の発言にゾッとしつつ、透子は急いて浴室のドアを開けた。
と、今まさに─────白装束に身を包んだ静が脱衣場で透子に背を向けて座っていた。