• テキストサイズ

琥珀王子と瑠璃色灰かぶり姫

第6章 針



****
静や西条に連絡をしなければ。
ふとそう思い付くも、その手立てが無いことに気付く。

どこかに迷い込んだ夢をみてるみたいだ。

翌日になり、また昨日と同じに日が暮れていく。

椅子に腰をかけただそんなことを繰り返していた。
外が暗くなり冷えた風が吹き込んできても、透子はその場にじっと佇んでいた。


『お前は一体誰なんだ?』

静に訊かれてから考えるようになった。

住む場所が変わり。
他の家に属し。
それでもやるべき事があるのでは無いかと。

自分がこの家に閉じこもって周囲の言いなりになることは、きっと誰のためにもならない。

事実、ここの家族にとって自分は邪魔だったはずだ。
厄介払い出来た方が気兼ねなく暮らすことが出来るだろうに。

この夜空と同じく、瑠璃色が細く囲う指を見るたびに思う。


────会いたい、と。




/ 457ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp