第5章 恋人 - 定義と認識 2*
彼の髪と同色に縁取られたそれに視線が吸い寄せられた。
なにかを考える前に、ズキン、と痛みに似た鈍い感覚が下腹をつく。
赤みを帯びら太く長い昂りはくっきりと脈が浮き出て、真っ直ぐに上を向いている。
先の部分は括れ、幹の部分と明確に分かたれている。
今更ながら、こんなものを受け入れたのを不思議に思う。
初めに見ていたら腰が引けていただろう。 だが、透子は深いため息を少しずつ口元から逃がし、同時に蜜口からもトロリと愛液を漏らした。
そんなさまを見ていたのか、静がその場で屈み、透子のその部分へと顔を近付けていく。
「あ…あっ……」
体にするのと同じく、軽い口付けを繰り返し、静は物も言わず性器の全てにキスをした。
指でする時とこれも同様に、割れ目を丁寧になぞっていく。 全体を、そして左右の溝を尖らせた舌で。
それが中央に沈み、蜜口を覆う秘肉ごとくすぐる。
かわいいと、恋をしていると、愛おしいと、静は言った────探し、求め、与えられる。
そんな彼の愛撫が、押し寄せてくる静の想いが、透子の感度を狂わせた。
「あ、溶け…だめ……わ、私…」
「存分に溶けるといい」
ぬめった舌が粘膜に到達し、さらに深くを求める。
膣に押し入った舌が思いがけず透子の内部をこじ開けた。
その時に堪らず腰を大きく浮かせた。
「焦らすつもりはないが………すぐにでもイきそうだな。 責めてもないのにクリトリスが可愛らしく顔を出している」
外れてしまった快楽の鍵。
以前の、夜の車内での強烈な感覚。
それを再び求める透子が潤んだ目を静に向ける。
「違うのか。 俺はちゃんと言えと言わなかったか?」
抑え気味に囁き、静がひと握りの理性を透子のために費やす。