第1章 お見合い、のち災難
吐息が当たっていた肌にピリ、と痺れが走る。
それが押し付けるように移動していて、逸らせた首すじに口を付けられてるのだと気付いた。
小さく、呟く箇所から息が漏れている。
「言え。 金か地位か?」
「なにを…や、やめ。 誰…か」
自分の背中に回った手は、いつの間に見付けられていた透子の衣服のファスナーを外していた。
果実の皮のように容易に開かれた身頃から、自身の胸を包む下着が露わになった。
「純情そうな振りをしても無駄だ」
男性がなにを言っているのか分からない。
それよりも自分に覆いかぶさってる体から逃れようとするのに精一杯だった。
吐息が胸元に下がっていく。
はだけられたスカートの隙間から、腿の内側に手が滑る。
「…ちょ……っ」
何度か悲鳴をあげ透子が制止の言葉を口にする。
男性はそれをまるで聞こえないもののように無視し続け、透子は腿の隙間を必死に閉じた。
「ッイヤあっ!!」
「ほら……ちゃんと反応してる」
直後、自分の足の間に、なにかで刺されたような激痛が走る。
「い、痛い!」
透子が思わず叫んで腰を大きく引く。
「────え?」
驚いた表情の男性と見詰め合う。
痛みというよりも、得体の知れない怖さからだった。
自身の体を守るように、きつく両腕を身体に回す透子の目に涙が溜まった。
目の前の女性……透子が青ざめて震えているのを認め、それから自分の指をじっと見てから、男性がまた透子を凝視する。