第7章 なな
私と入れ替わりでポアロに入ったコナン君。
萩原君の隣に座ったのが、窓越しに見えた。
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大したものなんて買ってないけど、まだ萩原くんがいるかもしれないと変に警戒して、少しゆっくりとポアロに戻った。
closeの看板が出ていて、ほっと胸を撫で下ろす。
「ただいま戻りました」
「さん、ありがとうございます」
「遅くなっちゃってすみません」
「いいえ。助かりました!萩原さん達、また来るからよろしく言っておいてだそうです」
「ふふ、そうですか」
2人で途中だった店内の片付けをして、ポアロを出た。
梓さんのおかげであっという間に終わった。
「今日もお疲れ様でした」
「お疲れ様でした」
梓さんと別れて、また昨日と同じように自宅じゃなくて漫画喫茶へと向かう。
次の休みにでも、丁度いい部屋を探しに行こう。
理由はどうあれ、やっと重い腰をあげる。
ある意味、荒療治だ。
先に買い物だけ済ませようと、朝と同じ店による。
昨日と今日でお金を少し多く使ってしまったけど、新しい部屋を見つけるまでの辛抱だと思い直す。
漫画喫茶の店員さんは、2日続けてきた私に嫌な顔ひとつせず淡々と迎えてくれる。
私を知らない人、それが少し楽だった。
ご飯は一日一食、美味しいはずのポアロの賄い。
それだけで十分だった。
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ポアロにはたまに萩原くんとか、松田君がきた。
萩原君はちゃんと鍵を渡してくれたらしい。
降谷君もそれを何も言わずに受け取ったみたいで。
梓さんに言ったおかげで、見事にシフトも被らない。
だから、あれから一度も顔を合わせていない。
別にそれでよかった。
何も感じないようにしてた。
家へと帰らなくなって初めての休みの日、私は不動産屋巡りをしてた。
携帯は相変わらず電源を切ったままで。
新しい部屋は必要最低限の部屋でいい。
小さな、ワンルームでいい。
セキュリティも関係ない。
1人で住むなら、なんでもいい。
物を置けないくらいならちょうどいい。
不要なもののせいで、息苦しくなるのはもういやだった。
これから先、新しく思い出を増やしたりなんてしないように、必要最低な物を置くスペースがあればいい。
張り紙を睨むように見る。