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夕刻、貴方の影を探す

第9章 きゅう


 「まぁ、一理ある」
 「はぁ…」
 「お前も、あのアムロver.なら行けるだろ。JKブイブイ言わせてるんだし」
 「JKブイブイ言わせてるって…」
 「まぁー、あれだ。初恋は叶わなねぇもんなんだよ」

 俺も覚えがある、なんて、千速を思い出す。

 「萩原の姉な」
 「な、おま!!」
 「図星かよ」
 「誰かから聞いたのか?!」
 「いや、憶測。墓穴掘ったな」
 「デリカシーどこに置いてきたんだよ」
 「んー…どこだっけな」

 未だ本調子じゃなさそうなゼロをみて、気の毒に思う。

 「…ありがとな、松田」
 「おーよ、」
 「谷原って何者なんだろうな」
 「調べてみれば?お前の領分だろ」
 「いや、…やめとく」
 「なんでだよ」
 「俺までヒロを、忘れるわけには行かないだろ?」

 男の癖に、可愛いこといいやがる。
 なんて茶化すのはやめた。

 「脅威だったら?」
 「お前の相棒がいるんだから、そう大事にはならないだろ」

 立ち上がったゼロ。

 「俺は生きてるんだよな」
 「何を当たり前なことを」
 「わかってるんだけど、今日はなんだかヒロに会いたい」
 「墓にはいないらしいぜ。秋川の旦那が言ってた」
 「…はは、そうだな」
 「まぁ、でも。花を手向けるくらいしてもいいんじゃねぇ?」
 「うん」
 「乗れよ」
 「さんきゅ」
 「ついでにポアロでコーヒー飲もうぜ。
 梓ちゃんのコーヒー飲みてぇ」
 「コンビニでいいだろ、今日くらい安室もオフにさせてくれ。
 これでも傷心してるんだから」
 「傷心してる奴は自分でいわねぇの。お前が切り替え早いの、俺が1番知ってるっつーの。
 ヒロを思ってたことも、への想いも、お前が抱えてたの俺が忘れねぇから、安心して励め」

 運転席に乗り込み、ハンドルを握る。

 「お前、いい奴なのにな」
 「憐れむなよ。ヤローにモテたって意味ねぇだろ」
 「ま、いつかいい奴現れるさ」
 「それお前にブーメランだぜ?」
 「全くだな」

 助手席でゼロが、シートベルトを締める。

 鬱陶しいほどの青空、忙しく行き交う街の喧騒を見ながら、花と団子を買って、静かな寺へと向かう。

 「今日は爆弾騒ぎ無いといいな」
 「プラーミャもいないし、大丈夫だろ?」
 「フラグか?」
 「かもな」
 「大丈夫だ、坊主もいないしな」
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