第6章 ろく
「んーん、騎士してたら新しく友達できたんだよ」
「へぇ、」
見定めるように、全身をくまなくみた陣平ちゃん。
どう思う?
「わけぇな」
「わけぇって他にないの?陣平ちゃん。
こっちが谷で、そっちが昴だってさ。コナン君と友達らしいよ。あと、とも」
谷って言ったのは、わざとだ。
"谷原航平"って名前がどうしても、気になったから。
それでも、
陣平ちゃん、たまにアホな子になるからな…。
「ふーん………ま、ボーズと1番仲良いのは俺だ。覚えとけ」
陣平ちゃんがドヤ顔を向けた時、にっこり笑って手を上げたその谷原って子。
「はーい」
目を細めたそいつの、その仕草がなんか引っ掛かるんだよな。
「ちょっと、松田刑事。ボクのこと巻き込まないでくれない?」
気になりつつも、俺もそのノリに参加する。
相手を探るためにも。
「てか、陣平ちゃん、俺は?コナン君に負けるの??」
「すまない、ハギ」
茶番を一通り見た後、タイミングよくちゃんから声が掛かる。
「はい、他のお客様のご迷惑になるし、騎士発言したせいで梓さんが変な勘違いしてるし、意気投合したならどうぞボックス席へ」
「そうですね、萩原さんと松田さんのご注文の品も出来上がったところですし、どーぞ」
と、結局コナン君も含めて男5人でボックス席に向かう。
「俺たちも一緒でよかったのか?」
「えぇ、別に構いませんよ」
「ホームズのオフ会しようとしてたんだ!ケンジとジンペイも本読むか?」
「俺はあんまり、ハギはたまに読んでるよな」
「モテるからな」
なんて他愛もない話をしつつ、気になるこの男を探ろうとしてる俺は警察という職業のせいか…。
仕草、動作、利き手、話し方。
時より見せる品のある癖。
バレないように、相槌を打ちながら観察を続ける。
俺はやっぱりコイツを知ってるんじゃないか?
どこかで会ったことあるんじゃないか?
客が入るたびにちらっとそちらを確認している。
しかも、が迎え入れる時だけ。
梓ちゃんの時はそんなでもないのに。
きっかけを見つければ、あとは紐解くよりも簡単で。
他人にバレない程度にを気にかけている様だ。
…って、俺、なんかやっぱり知ってるな。