第6章 ろく
ぐいっと、自分の背中に隠すようにちゃんの前に出る。
大人気なく、牽制する。
全く知らないはずの目の前の男が、記憶に引っ掛かる。
どこだ?
どこで見た?
ちゃんに危険な相手では無いとは思うけど…。
「うん、この間初めましてだったんですけどね!
お兄さんこそ、のなんですか?」
少し棘のある言い方に、俺も内心穏やかじゃ居られない。
「雇われの騎士ってとこかな。虫除けってーの?ほら、ちゃんかわいいから」
場の空気が凍るのを感じたから、少し考えた後ピッタリの表現が思いついて、それをそのまま告げる。
「え!まさか、萩原さんさんのこと?!」
梓ちゃんだけが喜んでくれた。
ちゃんも喜んでいいんだよ?
なんつって。
俺は、
諸伏の代わりに守るって、あの日決めたんだ。
「冗談はさておき、君本当にちゃんの友達?
名前教えてくれる?」
ぐいっと服の裾を引っ張られる。
ちゃんだ。
「"谷原航平"よろしくね、萩原さん。
下の名前なんていうの??」
"谷原 航平"
「研二」
「おっけー、じゃあ!ケンジだ!!」
馴れ馴れしい相手に、俺は嫌悪感を覚える。
「コナン君の友達の昴と友達の俺。
俺の友達の昴と友達のコナン君と友達のの友達のケンジ。
つまり君も友達ってことだ!」
俺、こう言うタイプ意外と苦手なんだよ。
と後ろをふりむく。
「ははは」
なんの意味があるのか、ちゃんが乾いた笑いごえをあげる。
「ハギ、なにしてんだよ」
トイレに入ってた陣平ちゃんもそこに合流する。