第6章 ろく
「違いない。けど、ボーズは探偵しか興味なさそーだけどな。安室の領分だろーな、毛利さんも探偵だし」
「確かに、…ご注文の品、少々お待ちください」
軽口はそれくらいにして、カウンターに向かう。
「さん、梓さんすみません。やはり急な呼び出しで…後お願いしてもよろしいでしょうか」
「はい、分かりました。くれぐれも気をつけてくださいね」
梓さんが答えるのを見ながら、私は少しだけ不安になる。
「さん、何かあったら梓さんに相談してください。
体調が悪くなったら、飛田に」
飛田とは、風間さんの偽名だ。
「分かりました」
過保護なくらいのフォローをいれて、慌ただしく出ていった安室さんと少ししてから入れ違いのように入ってきたのは、コナン君の待ち合わせ相手。
「あ!沖矢さん、谷原さん」
梓さんが、ドアベルの方へと向かう。
聞き覚えのありすぎるその名前に、変に胸が鳴った。
「いらっしゃいませ、お久しぶりですね」
「えぇ、最近研究で忙しくて。コナン君来てますか?」
「ええ。コナン君の待ち合わせ相手ってお二人だったんですねぇ。
あ、そうだ紹介しますね!!新しく入った、さんです」
安室さんが、あまり関わらないでほしいと言っていた2人だ。
「どーも」
「、こんにちは!エプロンにあってるね!」
太陽みたいに笑うこの人が、着ているパーカーが青だと認識する。
ヒロも、よく着ていた。
その色よりも、何トーンも明るい鮮やかな青。
「さんと、お二人お知り合いでしたか??」
「コナン君経由で、少しお話ししたことある程度です」
昴さんと梓さんが言っているのが、遠く聞こえる。
その青がやけに眩しく感じて、眩暈がした時ぽんっと両肩に乗った手。
「ちゃん、知り合い?」
この声は、萩原君。
ぐいっと、自分の背中に隠すように私の前に出る。
まるで牽制するみたいに。
青が見えなくなって、目眩もおさまる。
「うん、この間初めましてだったんですけどね!
お兄さんこそ、のなんですか?」
お互い穏やかな顔をしてるはずなのに、少し棘のある言い方に、場の雰囲気が冷たくなったように感じる。