第6章 ろく
翌日、ポアロにて。
「やっほー、ちゃん。気分はどーだい??」
ドアベルが鳴って、入って来たのは見覚えのある2人。
「来てやったぜ、」
パッと後ろを振り返ると、やれやれと呆れ顔の降谷くん。
思わず二度見してしまった。
2人に話さないようにと、鍵を刺したのは降谷君の方なのに。
「2人とも、どうして…」
1番奥のボックス席に通して、水を置く。
「そんなことよりお前、アムロから聞いたぞ!」
「こらこら、松田。急に来て、ちゃんびっくりしてるから。
とりあえず珈琲ホットで二つもらえる?」
「あ、はい。かしこまりました」
驚いたままの私と、どこか穏やかな表情の降谷くん。
「コーヒー二つご注文入りました」
と、声をかけつつ、作業をする。
「あの人たちお二人の知り合いなんですか?」
「えぇ、お二方警察の方でして、事件現場で何度か話してて。年が近いって事で、よくしてもらってるんですよ。
元々はさんの知り合いだったんですよね」
という降谷君にうなづく。
そういう設定なのね、と。
「へぇ、そうなんですかぁ」
「たまたま近くで事件でもあったんでしょう。さん、コーヒー入りましたよ」
「ありがとうございます、持っていきますね」
と、お盆に二つコーヒーカップをのせ、運ぶ。
「お待たせ致しました、ホットコーヒーです」
「ありがとー!いやー、こんな可愛いウェイトレスさんに運んでもらえるなんて、毎日きちゃうよね。陣平ちゃん!」
「おい、そんなことより」
「松田、待て。ステイ。お店なんだから、弁えろ」
「ち、わかってるっつーの。、今日何時に終わる?」
「今日は、閉店までだよ、」
「わかった。迎えに来る」
松田君の声にうなづこうとしたとき、背後から
「現役の警察官が、昼間から堂々とナンパですか?」
という、怒気を含みつつも笑顔で言う安室さんが来た。
「違うだろ、アムロも来いよ」
「………はぁ、ったく。わかりましたよ」
「よし、」
「にしても、透ちゃんも、板についてんね。喫茶店の店員さん」
萩原君がウインクをし、揶揄い気味に言うと降谷君のおでこがピキッと筋を浮かべた。
「えぇ、ありがとうございます」