第5章 ご
「俺がいるときはいいんだけど、風見も俺も仕事の時、ハロが独りになっちゃうからさ。
どうかな?」
「うん、…わかった」
「じゃあ、さっそくだけど。少し風見と話があるから、ここにハロといてくれないか?」
「うん、」
ハロと私の頭をそれぞれ優しく撫でて、風見さんと降谷君が部屋を出てく。
「ハロ君、はじめまして、よろしくね」
アンッ
「ほんとだ、返事してくれてるみたい」
お日様みたいな匂いがする。
「はろくん、」
トクトクと、音がする。
生きてる、音がする。
それがどうしようもなく温かくて、なんだかホッとして。
少しだけ、変わらない程度にギュッと抱きしめる。
ペロッと私のほっぺを舐めた。
「わっ、ふふ…なぐさめてくれるの?」
飼い主に似て、優しいね。
なんて言ったりして。
腕の中でムズムズし始めた彼を、そっと床へと下ろすと、その辺に転がっていたボールを私の方に持ってきた。
「あそぶの?」
当たり前だ!というように、キラキラの目をこちらに向ける。
「しょうがないなぁ」
激しくはできないから、ソファーの下の部分に寄りかかって広い方へボールを転がす。
コロコロっと私が転がして、それをハロ君がとってきて。
繰り返していると、飽きたのか、あったところにボールを戻すとハロ君。
また私の方に擦り寄ってくる。
「どうしたの?ハロ君」
体育座りをした私の太ももあたりを爪を立てずにふみふみとするものだから、降参して足を崩す。
そしてその上にひょっとのぼる。
体制を整えると器用に体を縮めて、丸くなったハロ君。
「少し運動して疲れちゃった?」
背中を撫でながら聞いても、ハロ君は何も言わないし、ほえもしないけど、その行為を許されていることが肯定的に感じられた。
膝の上が暖かい。
「ハロ君は…ハロは、あったかいね」
毛並みが気持ちいい。
降谷君や風見さんが、丁寧に接してくれてるんだろう。
降谷君といたらさ、
「いつか、ハロみたいになれるかな、」
優しく温かく。
ハロの温もりに段々と私も眠くなってきて、背中を預けたソファに寄りかかり目を閉じた。