第4章 よん
「…大丈夫?」
優しい声に、うなづく。
やめて、1人にしてくれ。
服の擦れる音で、その人がしゃがんだのを察する。
『』
キーンっと耳鳴りがする。
「…ひろ、」
ヒロじゃないって分かってる。
「ごめんね、」
と、断るようにして私の背中をさする。
「嫌だったらいってね?」
その手の温かさに、段々と落ち着いていく。
「…ごめんなさい、もう、大丈夫ですから、」
「そう、立てる?」
コクットうなづいて、その人に支えられながら立ち上がる。
「昨日から、…すみません。…谷原さん」
「ううん、」
昨日はもう少し元気な人だと思ったけど…なんだか、妙に落ち着いてる。
私に合わせてくれてるのかもしれない。
「…具合、悪かったの??」
「たまに、あって」
「それって、っ、病院行かなくて平気?薬は??」
「発作みたいなものだから、大丈夫です」
薬なんて、そんなの存在しない。
「!!」
降谷君の声がする。
「あぁ。ごめん、俺、もう行かないと」
「知り合いが来たから大丈夫です」
「そっか、なら平気だね」
一瞬悲しそうに見えた。
その顔がみれなくて、また顔を俯かせたとき。
支えてくれてた手が離れて、
ありがとうって言わないとと、また顔を上げた時には谷原さんの姿はなかった。
ガシッと強い力で掴まれる腕。
「探した!こんなとこで、…って、」
段々とその力が抜けてく。
「大丈夫なわけ、ないよな」
降谷君が優しく笑う。
「ごめん、」
「いや、…まだ、早かったかもな」
「え?」
「なんでもない、こっちの話。行けるか?」
「うん」
「梓さんに、連絡して」
「早退は、しないよ。逃げたいけど、逃げたらまた同じ、繰り返しだもん」
「そうか」
「…ごめんね、降谷君。探させたのも、心配かけたのも。買い物行かなきゃいけないのに、余計な時間使わせた」
「いや、いい」
暗い路地から抜ける。
「あんまり遅いと、梓さん困るよね」
「後でフォローするよ、大丈夫。今までも、強盗に遭ったり馬止めたりして、帰りが遅くなることあったしな」
「降谷君、結構無茶してるんだね」
「そんなことないさ。僕の恋人はこの国だからね。手を焼くくらいが可愛いんだよ」