第4章 よん
「平気です、すみません」
念入りに手を洗って、気持ちを切り替える。
がんばれ、
がんばれ、
「いらっしゃいませ」
忘れろ、
忘れろ、
「ご注文は何になさいますか」
考えるな、
考えるな、
「かしこまりました。少々お待ちください」
こんな毎日、早く終わればいいのに。
夕方、カランコロンと鈴がまた来客を知らせる。
「さん、こんにちは!」
「こなんくん、いらっしゃいませ」
「安室さんも、梓ねぇちゃんもこんにちわっ!」
「コナン君、こんにちわ。カウンターでいいかしら?」
「はーいっ」
「オレンジジュースでいいかな?」
梓さんと安室さんがコナン君に声をかけて、コナン君は高い椅子になれたように座る。
そうだ、と
コナン君に借りた本を持ってくるため、2人に声をかけてバックヤードにはいる。
たった数冊の本が、重い。
「…、コナン君、本ありがとう。
後半分は、また返すけど…すごく面白かったよ。
これ、少しだけど本のお礼。
昴さんの分も入ってるから、よかったら渡してもらえないかな?」
「クッキー?」
「あ、…えっと、朝に焼いたものなの。
手作りの、苦手だったら無理しなくていいからね」
コナン君の小さな手に渡す。
「ありがとう、さん」
「コナン君、私もさんから貰って少し食べたんだけど、すごく美味しかったわよ」
「さんの料理の腕はなかなかのものですよ」
「安室さんさんの手料理、食べる仲なんですか??」
「古くからの知り合いなもので」
3人の話を聞いてるうち、顔を上げるのすらしんどくなってく。
「さん?」
「ん?」
コナン君に呼ばれて、なんとか顔を上げる。
「…あっ、あのね!昴さんがまた会いたいって言ってたよ!」
「そっか、私もお会いしたいなぁ。
よろしく言っててくれる?」
「うん!あとね、」
必死になって私に話してくれるコナン君の言葉が、ちゃんと頭に入ってこない。
また、来客を知らせた鈴の音。
「ごめんね、コナン君。お客さんみたい」
私がいうと、少し顔を歪めたコナン君。
入ってきたのは、蘭ちゃん達3人組の女子高生。