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夕刻、貴方の影を探す

第4章 よん


 カーテンの隙間から漏れる光が、朝を知らせる。

 「んんっ、ん」

 冴えない頭のまま、布団から這い出てカーテンを開ける。
 どんな夢見てたっけ?

 「さむ…」

 のそのそと昨日の片付けも始め、動き出した後にまだアラームが鳴ってないことに気づいた。

 「え…」

 ポアロの出勤時間を考え、起床時間に設定した時刻より2時間ほど早い。

 浅い眠りだったんだろうか…。

 とも思いつつ、せっかくだしこのまま起きて何かしようと考えたとき、ふと目がいったのはコナンくんの本。

 「お礼」

 …しないと。

 近くのコンビニまで行こう。
 家に何もないし。


ーーー
ーー


 コンビニで買ったのは、さとうと、小麦粉とコンスターチ。卵とミルク。ココアも買う。

 あと、目についた飴玉。

 「こんなもんかな」

 "ありがとうございました"

 と、眠そうな店員さんの声がする。


 家について、キッチンに立つ。
 しばらく開けてなかった棚から取り出したのは、製菓ようのグッズ。

 「はは…」

 あの時のまま、止まってる。

 流石にちょっと、思い出が多すぎる。

 『うまいよ!コレ!』

 せんめいに声が蘇る。

 あの笑顔がまたみたい。

 あの頃よく使ってたキッチンスケール。
 流石につかないかと思ったのに。

 ぴっとスイッチを押すと電気がつく。

 「うそ…」

 つかないかと思ったのに。
 って、感傷に浸る時間なんてないだろうに。 

 久しく作ってなかったものの、体はきちんと憶えていて。

 『このクッキー、コンスターチ入ってるんだ??』

 生地を練って形成してく。

 "そうだよ、サクサクして、口当たりが良くなるんだよ"

 『え!この模様こうやって作るんだ!』

 "私も初めて知った時、びっくりしたんだ"

 『へぇ、飴玉?どうやって使うの?』

 "こうやって砕いて、焼くと溶けて冷えると固まるでしょ"

 『ああ、そっか!!』

 おやつを作るとき、私がキッチンに立つと、ヒロはカウンター越しに覗く。

 楽しげに表情が変わって、みてて嬉しかった。
 いつか2人結婚して、子供なんてできたら、親子でこうして…なんて、妄想ばかりして。

 オーブンは余熱を入れその後、クッキングシートに形成したものを天板に乗せ、タイマーをセットする。
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