• テキストサイズ

夕刻、貴方の影を探す

第3章 さん


 俯いたところで、ぽんぽんと頭に乗る手。

 「…」
 「沖矢さんは、お兄ちゃんみたいですね。私より年下なのに」
 「年下?」
 「大学生とお聞きしましたけど」
 「あぁ、大学院生です。27歳です」
 「それでもやっぱり年下ですよ、私は今年で29なので」
 「そうでしたか、コレは失礼を」

 と、引っ込んだ手のひらが、少しだけ惜しい。

 「いえ、私こそ。…沖矢さんに話聞いてもらったら少し楽になりました。ありがとうございます」
 「昴…でいいですよ」
 「じゃあ、昴さん」
 「はい」

 空気を読んだように、そのタイミングで戻ってきたコナン君の手元にはその視界が見えないほどの量の本。

 「わ、すごい量だ」
 「どれも全部おすすめで、持ってきちゃった」
 「借りれるのは嬉しいけど、こんなには待てるかな」
 「良かったら車出しますよ」
 「いえ、そこまでしてもらうわけには。コナン君、何回かに分けて借りてもいいかな?」
 「うん!もちろんだよ、じゃあ、最初は…これとこれとこれとこれと、」

 と、袋にパンパンに詰められ本を手渡される。

 「あはは…ありがと、」

 降谷君にお迎え頼もう。

 「そうださん、宜しければ、夕飯いかがです?カレーを作ったんです」
 「お誘いありがとうございます。でも、今日は本を借りに来ただけですから」
 「そうですか。コナン君は?」
 「ボクはご馳走になろうかな。蘭ねぇちゃんに電話してくる」
 「本当に昴さんとコナン君仲良しさんなんですね」
 「ええ、まぁ」

 電話から戻ってきたコナン君。

 「安室さん、終わり次第迎えに来るって。蘭ねぇちゃんの話聞いてたみたい。もう少し待ってたら?」
 「なら、ポアロまで戻るよ。コナン君、借りてくね。
昴さんもありがとうございました」
 「ポアロまで送りましょうか?」
 「ううん、本当に大丈夫です。またお話し聞いてください」
 「はは、わかりました。じゃあ、お気をつけて」



ーーーー
ーー


 工藤さんの家をでて、きた道を戻る。

 陽が傾き初めて、きっと他の人が見たら綺麗な夕陽なんだろうと思う。

 影が、伸びてる。

 袋いっぱいの本の重さにすこし、腰が痛い。

 歩道橋をあがる。
 コレは少し、バランスを取るのが難しい。


 
/ 95ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp