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夕刻、貴方の影を探す

第3章 さん


 「やぁ。コナン君、いらっしゃい」
 「沖矢さん、こんにちわ!ボクの新しい友達連れてきたんだ!」
 「それはそれは。どうも初めまして、沖矢昴と申します。よろしければ、私とも仲良くしてくださいね」

 コナン君の友達って、アダルティックがすぎない?
 と、糸目の男性を見つめる。

 「です。よろしくお願いします」

 握手を求められ、それに応じる。

 「ところで昴さん、誰か来てたの?」
 「あぁ、それなら」

 目の前の男性が何かを言いかけた時、聞こえてきた声。

 「昴ー!コレ借りてっていいか??」

 ドタドタと忙しく、階段を降りてきたその人はリビングに入ってきた。

 「やぁ、コナン君もこんにちは!って、…」

 勢いよく中に入ってくると、私と目があって動きを止めた。
 ほんの一瞬だった。

 「なんだよ、昴。彼女いたんだな」

 太陽みたいに笑ったその人。

 「違いますよ、コナン君の新しいお友達で」

 沖矢さんの声より少し高めの声。

 「へぇ、そっか。じゃあ、昴の友達でコナン君の友達なら、オレとも友達だな!よろしく!
 っつーことで、名前なんていうの?」

 私の知らない人。

 「さんだそうです。といっても、私も先ほど知り合ったばかりですが」

 耳鳴りがする、ひどく眩暈がする。

 「そっか!なるほど!じゃあ、""か。
 で、この本借りていい?借りていいよな?じゃあ、借りるぞ。コナン君もまたな」

 固まってる私をよそに、目の前でバタバタとことが進んでく。
 ぽんぽんと2回ほどコナン君の頭を撫で、出て行ったその人。

 嵐みたいに通り過ぎてったその人。

 玄関からドアが閉まる音がする。

 「まって、」

 追いかけた時にはもう姿は見えなくて、まるで幻でもみたんじゃないかという気がしてきた。

 「さん!?」

 慌てて追いかけてきたコナン君に、腕を引かれる。

 その勢いに尻餅をついた私。

 「大丈夫?!」

 ブーンっとスピードを上げ、私の正面を車が通りすぎてく。
 コナン君に止めてもらわなかったら、多分私轢かれてた。

 「…ありがと、コナン君」

 驚いたせいか、尻餅が痛かったからか。

 「大丈夫ですか?ふたりとも」

 沖矢さんの優しい声のせいか。
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