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夕刻、貴方の影を探す

第2章 に


 困るけど。

 「も、初日から厄介な子に懐かれてしまってたし。いつかは知り合うと思ってはいたけど」
 「コナン君のこと?」
 「そうそう、あの子。気をつけたほうがいい、ヒロのことも余り話してほしくない。それを解き明かせなんて、君はやっぱり馬鹿か?」
 「待って待って待って、ついていけないんだが?まず、安室さんは」

 と言うと、怪訝そうな顔をされる。

 「馬鹿」

 私って馬鹿だったのか?

 「え?」
 「…はぁ。この車は安全だから、全部思ってることいって良いぞ」
 「まず、降谷君結婚したの?」
 「は?なんでそうなる?」
 「安室さんっていったから、お偉さんの紹介で婿養子にでもなったのかと」
 「はぁ、まぁ続けて」
 「私立探偵って、バイト掛け持ちしなきゃいけないくらい大変なんだなぁとか」
 「…」
 「警察辞めたら、ヒロが悲しむだろうなって、」

 そう言った時、また大きなため息をつかれる。

 「まず、俺は独身だし、警察は辞めてない」
 「え、」
 「前に言っただろ、潜入捜査。詳しくは言えないけど、俺と外で会う時は、"安室透"として接してくれ」
 「ねぇ、一つだけいい?」
 「なんだ?」

 降谷君はやっとエンジンをかける。

 「説明不足が過ぎない?前情報、米花町の駅の近くのポアロって店ってことしかなかったのに、俺の代わりにシフト入れだの、安室透だの、もっときちんと説明してくれても良かったよね」
 「説明してたら、君は来なかっただろ?」

 …そうかもしれないけど。

 「俺達、もう30だぞ」

 わかってるよ。

 「そろそろ、ちゃんとしないと」
 「わかってるよ」
 「その日暮らしなんて、いつか身を滅ぼすぞ」
 「わかってるって、」
 「ポアロなら、俺もフォローしてやれるし」
 「わかってるってば!ポアロの件は、降谷君が困るからでしょ。潜入捜査も、言っちゃいけないんじゃないの?今更何?」
 「分かってないよ、は」
 「…」
 「ヒロが、今のお前見たらどう思うよ」

 情けないって、言われるかもしれないけど…。

 「大丈夫っていったのは、だっただろ」
 「…」
 「少しずつ、動き出さなきゃいけないんだ。
 俺たちは、生きてるんだから」
 「降谷君は、変わったね」

 ヒロがいない世界を、よく愛せる。
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