第2章 に
安室さん(仮)に促されて中に入った途端、可愛い女の子にかけよられる。
「安室さんが言ってた人ってその方ですかぁ〜?」
「そうです、ボクが急に抜けた時の助っ人として、どうかなって」
なんだそれ、聞いてない。
「ほら、さんも挨拶してください」
だなんて、
「といいます。よろしくお願いします」
促されて素直に言ってしまったのは、記憶の奥に棲むヒロを安室さんに見たから。
「でも、私安室さんに聞いてなくて。説明してもらっていいですか?」
「ボク、ご存知の通り私立探偵をしていて、クライアントの都合で急に抜けることもあるんです。そんな時、さんに入っていただけたらと思いまして」
…ご存知じゃなかったし。
「…安室さん、ここ喫茶店ですよね」
「ええ、そうですね」
「本気で言っていますか?」
「ええ、リハビリにもなると思いまして」
余計なお世話だ。
「安室さん、リハビリも何も、…治らないんですよ、私の"コレ"は」
「でも、料理はできるでしょう?」
「…………はぁ。仕方ないですね、昔馴染みだし。断ったら、彼に怒られそうだし」
「っということで、梓さん。お願いしますね。さんも、よろしくお願い致しますね」
「榎本梓です!安室さんに聞いた時は、少し不安だったんですが、さんと会ってなんかホッとしました!
よろしくお願い致します!珈琲召し上がっていってください!奢りです!」
「わぁ、さん、ポアロで働くんですね!私とコナン君もよくお世話になってるので、嬉しいです!」
jkにここまで言われるなら仕方ない。
「姉ぇちゃん、よろしくね!ボクもいっぱい来るからね」
小学生男子も可愛い。
仕方ない、この2人のために頑張るか。
「よろしくね、蘭ちゃん、コナン君」
と、こうして始まった私の第二の人生。
ねぇ、ヒロ。
何か変わるかな。
ヒロがいなくなった世界でさ。
「梓さんもよろしくお願いします」
「はい、ぜひ!」
「安室さんも、よろしくお願いします。それから」
「ええもちろん、仕事が終わり次第、一度きちんと話しましょうか」
「うん、」
あぁ、ヒロのこと嫌に思い出す。