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ハタチの誕生日に明治時代にトリップした話

第2章 第七師団


『近いうちにここを出る』

尾形さんにそう告げられてから早1週間。
とりあえず言われた通り、自分の荷物をひとつにまとめていつでもここを離れられるよう準備をしている。

荷物といってもこちらに来た時に着ていた衣類と財布、それにスマホしかないので小さな袋のみだけれど。

それにしても師団を出るだなんて、尾形さんはどういうつもりなのだろうか。

軍を抜けるということだろうか。
でもなんで?

鶴見中尉と杉元さんは金塊を探していると言っていた。
そして尾形さんは金塊をめぐった争いで杉元さんにやられたのだと。

もしかして尾形さんも金塊を狙っている?
それも鶴見中尉とは別の個人の目的で。

でもだとしても、一人で動くよりも鶴見中尉達と一緒にいた方が色々と都合がいいと思うんだけど。

それとも、金塊以外の目的がなにかあるのか…。


なんて考えたところで私に尾形さんの思惑がわかるわけもなく、とりあえずここにいる間は自分の仕事を全うしようと最早着慣れたメイド服へと着替えて部屋を出た。





「かおりさん、おはようございます」

「おはようございます、月島さん」

笑顔でそう返せば、「失礼」と言って私の頭に手を伸ばす月島軍曹。彼の手がふわりと髪に触れる感触に、心臓がどきりと跳ねる。

「髪の毛に葉が」

「あ、ありがとうございます!」

相も変わらず優しい月島軍曹にいつものようにトキメク私。

こんな幸せな時間もあと少しで終わってしまうのかと思うととっても名残惜しいけれど。
何といっても私は尾形さんに命を握られている身。
彼に未来人だという事をバラされてしまったら、私は殺されてしまうかもしれないのだ。

それだけは絶対に阻止しないと!

月島軍曹に会釈をし、私は食堂へと向かった。
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