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ハタチの誕生日に明治時代にトリップした話

第2章 第七師団


「今夜、ですか?」

朝早く部屋を訪ねてきた月島軍曹から聞かされた話に、若干ながら笑顔が引き攣ってしまった。

朝一番で月島軍曹の顔が見られて今日は最高の一日だなんて思っていたら一変、地の底に叩き落とされる申し渡しをされた。

ついにこの時が来てしまった。

色々あって延期になっていた、鶴見中尉との食事会が。

当然断れるはずもなく、断るような口実もなく、今夜決行されることがあっけなく確定してしまった。

「では」と要件だけ告げて仕事に戻る月島軍曹の背中を眺めながら、呆然とその場に立ち尽くしていた。


まるで死刑宣告でも受けたような気分だ。

一体なにを聞かれるのだろう。不安で仕方ない。
何かしら怪しんでいる様子はあるものの、今までは特に追及されることもなく過ごしてきた。

けれど、明らかにこの時代の女性には似つかわしくない格好で突然雪山に現れた私を、あの頭の良さそうな鶴見中尉が怪しまない訳がない。

未来人だということがもしバレたら、尾形さんの言うように消されてしまうのだろうか。

記憶喪失であることも、嘘だと見抜かれているかもしれない。
実際、宇佐美上等兵には疑われているんだし。

気合いを入れてかからねば。


以前中尉から送られたワンピースを着て、教えられた料亭へと向かう。

これが死装束にならないことを祈って。
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