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ハタチの誕生日に明治時代にトリップした話

第2章 第七師団


「ちょ…ムリムリムリぃ!無理だってば…っ!」

舐めるし噛むし服着たままだし、意識がないとはいえ、すぐそばには人もいる。さらには鶴見中尉に近づけないように汚すって…!
そういうコトに対してほとんど初心者と言っていい私にとって、こんな特殊性癖オンパレードみたいな人の相手なんて、到底務まるわけがない。

涙目になりながらイヤイヤと顔を左右に振るけれど、両手でガシッと頭を掴まれて固定される。

「だーかーらー、暴れるなって言ってるの!」

そのまま黒い瞳に見つめられれば、蛇に睨まれたカエル状態。
物理的にも精神的にも体が硬直して動かない。

「そうそう。かおりはそうやってただじっとしれてばいいんだよ。そうしたらすぐに僕が気持ちよくしてあげるからね」

そう言って頬に触れる宇佐美上等兵の右手に、さらに悪寒が激しくなる。ザワザワザワと背中が凍りついていく。

ヤダヤダヤダ!本当にヤダ!
助けて!尾形さん!

藁にも縋り付く思いで、隣のベッドで眠ったふりを続ける尾形さんへと視線を向けた。

パチリと、まん丸の瞳と視線がかち合う。

え…?ウソでしょ…?
てっきり寝たふりをしていると思ってたのに。
めちゃくちゃガン見されている…!

一度は酷いなんて思ったけど、尾形さんには尾形さんなりの都合があるから、突然現れた未来人に義理を通す必要なんてないって、見て見ぬふりをされても仕方ないって思うし。
私を助けたところで尾形さんにはなんの得もないし、むしろ今まで意識のない演技を続けてきた苦労が水の泡になってしまうから、助けてくれるなんて期待してたわけじゃないけど。

助けなくていい。
助けなくていいですから。
せめて人が襲われているところをガン見するのはやめてもらってもいいですか…!?

そんな私の心境なんて知ったことかと、尾形さんが視線を逸らす様子は一向にない。

この人は一体どんな気持ちで、か弱い乙女が今にも手籠めにされそうな場面を見ているというのか。

尾形さんと視線を合わせたままの私の首筋を、宇佐美上等兵の舌が舐め上げていく。

再び太ももに置かれた指にぐっと力が込められた。
そのまま持ち上げられ、中心部分に何か硬いものが押し当てられた感触が布越しにも伝わってくる。

もうダメだと、諦めた瞬間。

視界の端で尾形さんの瞳が閉じられたのが見えた。
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