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ハタチの誕生日に明治時代にトリップした話

第2章 第七師団


狂ってる。

宇佐美上等兵には悪いけれど、率直にそう思ってしまった。

自分が心酔している上官に女を近づかせないために、その女を自らの手で汚す?
え、ちょっと言ってる意味がわからないんですけど。

どうしたらそんな思考回路になるんですか?え?これ私がおかしいの?違うよね。この男の言動がおかしいんだよね?

私が頭の中で軽くパニックを起こしている間にも、宇佐美上等兵は軍服のボタンをひとつ、またひとつと外していく。
ぱさりと上着が床に落ち、ワイシャツ姿の宇佐美上等兵の真っ黒な瞳が私を見つめた。

「面倒だから大人しくしててよね…」

そうぼそりと零すと、宇佐美上等兵はゆっくりと顔を近づけてくる。

いやいやいや、そう言われて素直に受け入れられるわけないじゃん!

もぞもぞと身体を左右に動かして抵抗を試みるが、やはり相手はびくともしない。

宇佐美上等兵は私の全くもって意味をなさない抵抗に、嘲るようにフンッと鼻で笑うと首筋に顔を埋めた。

途端、ぬるりとした感触に襲われ、身体全体がびくりと跳ねる。

「ひゃ…っ!」

コ、コイツ…!舐めたな!?

首筋、頬、耳と、続けざまに舌を這わせる宇佐美上等兵。
その度に身体がビクッと反応してしまう。

「やぁ…だ……、やぁ…っ!」

くすぐったくて、出したくないのに無意識に声が出てしまう。
首筋から鎖骨にかけて、なおも執拗に舐め続ける宇佐美上等兵に、無駄だと思いつつも抗議の声を上げる。

「や、めて…くだ…、あっ!お…尾形さんに…聞かれ…んんっ」

「はぁ?意識のない百之助が聞けるわけないでしょ」

違うんです!この人意識あるんです!
しかもさっきまで私と話していたので、絶対狸寝入りなんです!

そう叫んでやりたいけれど、宇佐美上等兵から与えられる刺激のせいで上手く言葉が出てこない。

そもそも尾形さんはなんなの?意識が戻っていることを気付かれたくないのかもしれないけれど、か弱い乙女がこんなピンチに陥っているというのに見て見ぬフリですか?
ちょっと酷くないですか?

ふつふつと湧いてくる尾形さんへの怒りに気付いているのかいないのか、宇佐美上等兵は身体を起こすと、カチャリとズボンのベルトに手をかけた。

え?ウソでしょ??
ちょっと待って。もうソコいきます?

ズボンのファスナーに手が添えられた瞬間、私は逃げられないことを悟った。
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