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ハタチの誕生日に明治時代にトリップした話

第2章 第七師団


わたくし綾崎かおり、尾形さんのおかげで絶賛大ピンチです。


その日は朝から雲ひとつない青空が一面に広がり、北海道の厳しい寒さを忘れさせてくれるような、そんな穏やかな陽気だった。

いつものように、朝食の準備、後片付け、洗濯と、自身の仕事を順調にこなしていた。

洗濯物を干し終わり、昼食の準備が始まるまで少し休憩でもしようかと自分の部屋へと戻る途中、1人の兵士に声をかけられた。

「あの、かおりさん…!」

その人は、私が第七師団で働き始めて割とすぐに話しかけてきてくれた人だった。
見かけると仕事を手伝ってくれたり、お菓子を差し入れてくれたりと、何かと気にかけてくれるとても優しい人だ。

「美味しいお菓子が手に入ったんです。よければ僕の部屋で一緒に食べませんか?」

だから何の疑念も抱くことなく、私は素直にその誘いを受け入れた。



部屋に入ってすぐに、その人の様子がおかしいことに気付いた。
扉に背を預けて立ち、ずっと俯いているのだ。心なしか、息も荒いように見える。

「大丈夫ですか?どこか体調がお悪いのでは…」

熱でもあるのかとその人の額に手を伸ばした瞬間、すごい力で手首を掴まれた。

咄嗟のことで声も出ない。

そのまま手首を引かれ、彼の胸の中に抱き寄せられた。
抱きしめる力が強すぎて、振り解くことも抜け出すことも出来ない。

「かおりさん…。僕はあなたのことが…!」

彼はそう言うと、背中にまわした腕にさらに力を込めた。

そこでようやく、私の頭が状況を理解した。

尾形さんが言っていた言葉を思い出す。
『せいぜい襲われないように気を付けるんだな』

あああああ…!あれか!尾形さんが立てたあのフラグ!あれの回収イベントってこと!?

「かおりさん…!」

メイド服越しに、背中から腰へ、そしてさらにその下へと彼の右手が降りていく。
ぞわわっと、気持ちの悪い感覚が全身に駆け巡る。
腕を振り解こうと抵抗しても、男の力には敵わず無意味に終わるだけだった。

「やだ…、やめて下さい…!」

そう訴えても右手は止まることなく、スカートの中に手を入れられ、直接太ももを触られる。
反射的に抵抗する力が弱まると、その隙をついて近くにあったベッドへと押し倒されてしまった。
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