依々恋々-イイレンレン-@Shanks in 現代社長
第24章 二人の景色
「お腹空くにおい!!」
部屋に入った瞬間叫んだ🎀と、顔を出したローに昼ぶりだな、と手を上げる。
「これ」
「なんだ?」
「🎀とゆっくり買い物できたの、久しぶりだったんで」
その礼、と渡された紙袋。
中を覗くと日本酒が2本入っている。
「一応、🌸にも」
カウンターに置かれた紙箱には『PATISSERIE』の文字。
「チーズケーキ、モンブラン、コーヒーゼリー、ミルクレープ」
「うわっ、なんて好みをわかってくれてるセレクト」
「全部一人で食う気かっ」
一人1つだっ!というローに、けちんぼ、と舌を見せている🌸は、チーズケーキがいいなぁと言いながら冷蔵庫に箱を入れた。
これお願い、とキッチンで余ったトマトを摘み食いしていたMrs.フィアンセにカトラリーを渡し、食事をよそっている🌸と目が合う。
「お酒飲む?」
日本酒の入った袋をちらりと見て、カウンターを回る。
キッチンに背を向けて立つローとテーブルセットに勤しんでいる🎀を確認すると、少し背を屈めて、髪を結っていることでその位置がはっきりとわかる🌸の耳に唇を寄せた。
「ここにいていいなら、飲むかな」
背後の近すぎる気配に驚いた🌸の腰に軽く腕を回し、グラスを選んでいる振りで棚に片腕を伸ばす。
「どのグラスがいいと思う?」
フルートグラスの縁を撫で、下段のグラスタンブラーを指先で傾ける。
🌸の空いた手が、2脚あるフルートグラスのひとつを掴んだ。
「お酒飲むようなの、これしかないの」
タンブラーに触れていた手に握らされる。
ありがとう、と受け取り、グラスに込められた意味につい、にやける。
「旨い酒が飲めそうだ」
フルートグラスで日本酒を飲むのも悪くない。
あまり飲みすぎないようにしよう、と自戒して、少し赤らんだ頬で息をつく🌸に熱をあげられながらリビングへと向かう時、聞き慣れないインターホンの音が鳴った。