依々恋々-イイレンレン-@Shanks in 現代社長
第24章 二人の景色
朝ぶりの🌸の部屋。
「荷物、持ってくれてありがとう」
ダイニングで🌸に持っていた袋を引き渡す。
「手、洗うならシンクか玄関の靴箱向かいの手洗い場ね」
🌸はキッチンで済ませるらしいので隣に立つ。
ハンドソープね、と指差された、食器用洗剤とスポンジが2つ置かれた隣。花の形をしたクリアグレーのポンプヘッド。
(女の部屋、だな)
泡状に出てきたハンドソープで手を洗いながら、同じように手を洗う🌸を見やる。さてと、とペーパータオルで手を拭き上げ、購入品の整理を始めていた。
「シャンクス、テレビでも見てる?」
白いまな板やホルダーの包丁を出して、調理の準備をしながら問われる。
自由にしてていいよ、と言われて、リビングに抜ける暖簾を潜ろうと体の向きを変える。
右後ろで食品の整理をしていた🌸がすぐ下にしゃがみ込んでいて、蹴飛ばしそうになった脚を慌てて少し離れたところに着いた。
「?」
足の間。真下から見上げてくる🌸にトク、と心臓の音が大きく聞こえる。
水で冷えた手で、柔らかく温かい頬を撫でる。
ストン、と片膝をついて高さを合わせてキスをした。
シンク台に背中を預け、立てた膝の間に座り込む🌸を抱き込む。されるがままでなく、キスに応えてくれる🌸をギュッと抱きしめると、トントン、と優しく肩を叩かれた。
ふはっ、と離れた🌸に、えい、と鼻を摘まれた。
「はい、ここまで。お料理できないでしょ」
お茶淹れてあげるから大人しくしてて、と頬にキスをして立ち上がる🌸の裾を引く。
「そこまでしといて放置はないだろう」
お料理が済んだらね、と子供にするように頭を撫でられる。
子供のただごねみたいに座り込んで裾を引くシャンクスを見下ろした🌸は、ふふ、と笑ってお湯を沸かす用意を始めた。
「コーヒーでいい?」「ああ」
「ミルクだけね?」
好みを覚えてくれていた🌸に頷き、仕方なく立ち上がっておじゃま虫をやめることにした。