依々恋々-イイレンレン-@Shanks in 現代社長
第22章 こたえあわせ
(何回目のキスかな)
ちぅ、と角度を変えて重ね合う唇から水音がする。
低いソファに腰掛けている自分と立ち上がっている🌸なら、🌸の唇のほうが高い位置にあった。
そ、と肩に添えられた片手を掴む。
🌸の方から指を絡めてくれて、ふわ、と体内に広がる温もりを堪能する。
受け身のキスをするのは久しぶりだ。
そっと首の裏を撫でられる感覚に、体が震える。
ゆっくり離された唇に目を開けると、少し背を伸ばした🌸が額にキスをする。ちゅ、ちゅ、と瞼や頬に何度もキスを降らせてくれる。
「謝ったのは、気づいてなかったこと」
キスを繰り返しながら、少し震えた声が静かなフロアに流れていく。
信じてもらえなかったなら意味がなかった、と体を引き寄せると、遠慮気味に膝立ちでソファに乗る。
ちぅ、と輪郭の縁に触れた唇が離れた時を見計らって、そっと白い首筋に触れて顔の角度を変える。
鼻先が触れ合う距離で覗き込んだ、オニキスを思わせるような漆黒の瞳がくっきりと自分の姿を映している。
「自分でも、結構わかりやすく好意は示していたと思っていたが?」
コツン、と額を突き合わせる。
「いや、本気じゃないのかなって」
ワンナイトラブ的な、と反らされる目線に、グリグリと額を擦り付ける。
「それならわざわざ家でやるもんか」
「ごめんなさい、ごめんなさい。
そうですね、それなら空港方面のホテル街に戻る方が早かったもんね」
鈍い奴め、と繋いでいた手を握る。
(まあ、はっきり言ってやらなかった自分も悪い)
つい、探り合うようなやり取りを楽しもうと欲をかいたのが裏目に出た。
それじゃあ足りなくなって、本心を知りたい反面、拒絶をはっきりと示されるのが怖くて、誤魔化しに走ったのも拍車をかけた。
「🌸」
握っていた手を、より一層の力で握る。
痛みにならない程度に。
首筋に添えた手が、強い脈動を感じている。
また、その瞳が不安に曇ることがないように。
もし、その時が訪れたなら真っ先に分けてほしいと願う。
その笑顔の為なら、なんだってできる。
「愛している」
その言葉を、きみへと伝えよう。
大切なきみに。