依々恋々-イイレンレン-@Shanks in 現代社長
第22章 こたえあわせ
(いや、多分、というか大方、俺の確認不足というか言葉足らずというかっ!)
「大丈夫?疲れちゃった?」
ソファに座り込み、両手で頭を抱えていると心配そうに声をかけてくれる🌸。
付き合ってるの?私たち
予想だにしてなかったセリフに、これまでを必死で思い返す。
名刺裏のメモ
バーでのキス
空港で誘ったデート
「芍薬」でのやり取り
パーキングで帰したくない、と宣言したこと
車内で離さなかった手
自宅で抱いたこと
(あんなにわかりやすくしてただろっ!)
ああもう!と叫びたくなるのを堪えて、深いため息をつく。
「ごめんなさい」
突然の謝罪に、ヒヤ、と血の温度が下がる。
頭を抱えたまま、お互いの表情がわからないのをいいことに決心する。
「謝るのは、俺の方だ」
ぐしゃ、と髪が崩れる。
「思い込みで、身勝手なことをした」
ごめん、と深く息を吐くと、震える心臓が痛んだ。
想いが同じだと信じて疑わなかった。
ひとり、勝手な幸福に浸っていた。
🌸は、遊ばれているのかと不安に思っていたのに。
(最低だっ!)
ギリ、と奥歯を噛みしめて目を閉じた。
固く握りしめていた両手を、温かい指先で撫でられる。
「傷、残っちゃうよ」
「っ!🌸、」
伏せられている顔から、感情が読み取れない。
ああ、優しくしないでくれ。
「私ね、からかわれてるんだと思ってた」
誂っていた。
それは最初だけで、本当は照れたり、恥ずかしがったり、咎めたりする顔が見たかっただけ。
「色々、その、急速に進んだのも、そういうことだけなのかなって」
違う。
自制が効かないだけなんだ。
🌸を目の前にすると。
「一緒に過ごしてくれるのも、まあ、暇つぶしなのかなって」
むしろ、一緒に過ごすために仕事もすっぽかしてしまおうかとさえ考えていたくらいだ。
「キスをしたがるのも、癖?なのかなって」
キスをしたい欲求が止まらないのは確かだ。
けれど、それに気づいたのは🌸に出逢ってから。
柔らかい指に撫でられていた掌が、そっと両手に包み込まれてピクリ、と指先が跳ねる。
ちゃんと謝ろう、と顔をあげる。
ゆっくりと触れた唇の温度が、過去最高に高かった。