依々恋々-イイレンレン-@Shanks in 現代社長
第22章 こたえあわせ
「ちょっと顔出す、とか言って、バリバリの主賓じゃないですか」
駆け抜けて暑いのか、ワイシャツのカフスをはずして腕まくりしているシャンクス。
挨拶までして、と背もたれのない広めのソファに放られたジャケットを見る。襟のタグのPOLO by RALPH LAURENの文字にそっと目を伏せて、顔を逸らす。
少し先に「KeepOut」の規制線が貼られていて目隠しの衝立がある。どうやら主賓の控えブースらしい。
ふっ、と近くに気配を感じて少し振り向くと、ワイシャツ姿のシャンクスがすぐ横に立っていて、ん、と見上げる。
合った目が少し細められて、ごく自然なふうに腰を抱かれる。する、と頬に触れた手に(あ、デジャヴュ)と思い、その色素の薄い瞳が閉じられるのを確認してからパシ、と彼の鼻下を掌で受け止めた。
予定していなかった感触に目を開けると、🌸の唇ではなく掌にキスしていた。
「キスは、しません」
ちょっと眉を顰めて、む、と口を閉じて首を横に振っている。
「しませんよ」
2回、念を押されて仕方無く離れる。
「頑張った褒美くらいほしいな」
「お仕事でしょう?それに、慣れてるでしょうに」
台本もなく上手にお話されてましたよね、と訝しげな顔に、仕方ない、と大人しく🌸の身を離す。
「ああいうのは大概、雛形がある」
「じゃあ、なおさらご褒美は無しですね」
逃げ切った、と嬉しそうな顔で離れようとする🌸の腕を掴んで、くるりと身を反転させると、驚きが残っている隙に唇を重ねて抱きすくめた。
なんとしてでも開く気はないらしく、力を込めている唇が震えている。
重ねる角度を変えたり、頬を撫でたりして開かせようとするが、頑なに開かない。