依々恋々-イイレンレン-@Shanks in 現代社長
第21章 ダブルデート??
たかれるフラッシュが眩しくないのだろうかとか、何かを読んでるようには見えないのにつらつらと述べられる祝辞とか、時折、その中に笑いを織り込んだりして人を惹き付ける話し方をするのはもう才能の一種だな、とか眺める。
「ご挨拶頂きました、株式会社レッドフォース代表取締役シャンクス様、ありがとうございました」
司会の女性に降壇を促されて笑顔で降りている。
質のよさそうなちょっと光沢のあるブラックスーツと開襟シャツを着こなしていて、癖っ毛の赤髪は癖を活かしながら整えてあり、多分、プロがやったんだろうと思われる。
降りると、同じようにスーツを着ている人やドレスの女性に声をかけられて、時折、カメラに向かって撮影に対応している。
「社交界の人って感じ」
社交界知らないけど、と言う🎀に、知らんのかーい、とツッコんでケラケラと笑う。
「そりゃ、いち会社の『顔』だしな。こういう場は慣れてんだろ」
代表だもんねぇ、と舞台下から動けなくなっている彼を、建物2階のガラスフェンス越しに眺める。
「ローくんも、学会発表とかする時はあんな感じ?」
若手の外科医としてそれなりに多忙にしているので、症例発表会だの患者の復帰パーティだの、🌸や🎀よりも、ほんの少しだけこういった場への慣れがあるローは、🎀の問いに、あそこまでない、と首を振る。
「あ、シャンクスさん、手振ってるよ」
やほー、と小さく振り返す🎀。
「ほら、🌸ちゃんも」
「えぇ?」
右手を掴まれて無理やり振られるので、一応笑顔で返しておく。
ピタ、と手を止めるので、なんだろう?と見下ろす。
案内役の人になにか言って、簡易ゲートを作っているロープパーテーションを跨いで動きを止めてあるエスカレータのベルトに手を掛けている。
「なにする気だ?」
眉間に皺を寄せたローが見る画面に流れるコメントも、
どうした?
なんでそっち?
てか、カメラ壇上映せwww
と言った内容が流れている。
ステージは次の挨拶をするらしき人が登壇しているが、正面ステージのスーツやドレスの人も、赤髪が目立つ彼の動きを追っている。
「まずいな、」
舌打ちをして、辺りを見渡したローは、あそこか、と呟いて携帯をポケットに仕舞うと、行くぞ、と🎀の手を取った。