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依々恋々-イイレンレン-@Shanks in 現代社長

第20章 会いまみえる


1つ目の交差点を過ぎる頃、深くため息をついて力が抜けた様子に、安堵した。

口頭の道案内に従って🌸の自宅へ向かうと、駐車場無いから、と言われて手前のコンビニへ車を向けた。
流れが途切れたところを見計らって駐車場に入る。

「っごめん!ちょっと待って、向こうに入れて」
がし、と右手を掴まれて、駐車場のちょうど中央辺りに停めようとしたところを、止められた。
なんで、と言いかけたところで、コンビニから出てきた男女。

淡い水色のワンピースにカーディガンを肩に掛けた彼女が腕を絡めているのは、スラリとした体躯に、黒に黄色のプリントが入ったパーカーとブルージーンズの背の高い男。
一角に停まっていたドイツメーカーのクロスカントリーに乗り込み、袋から出したカップにストローを差して助手席の彼女に渡す姿が確認できる。

ここにいたかぁ、と言って、唇に指先を滑らせる🌸の頭を撫でる。
「アレがDr.フィアンセか」
見覚えのある彼女と話している姿に、医者って雰囲気じゃねぇな、と、🌸が指定した角に車を入れる。
「アレで心臓外科なんだよ。ひとの心臓食ってそうなやつなのに」
随分な言われようだな、と笑ってエンジンを止めると彼女に体を向ける。
「とりあえず行ってこい。荷物は受け取らんと困るだろ」
「うん...そうだね。行ってくる」
はあ、とため息をついてシートベルトを外す🌸。
初めての朝帰りを叱られに行くかのようだ。

(まあ、朝帰りは間違ってないか)
とぼとぼと歩いていく背中にふっ、と笑いが出る。
「ほんっと、可愛いやつだな」


窓を少し開けて煙草に火をつけると、未来の花嫁に抱きつかれてその頭を撫でている🌸と、随分な凶相で腕を組んで何やら言っているDr.フィアンセが見える。
やはり叱られているらしく、下げた頭を掴まれてなお、Dr.フィアンセになんとか蹴りを入れようとしている🌸と、二人の間で慌てて止めようとしている未来の花嫁。

暫くじゃれ合っていた3人が揃ってこちらを見るので、煙草を挟んだ手を上げて返す。
軽く頭を下げた夫婦(仮)とおいでおいで、と手招く🌸に、まだ半分も吸っていないそれを携帯灰皿に押し付けた。
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