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依々恋々-イイレンレン-@Shanks in 現代社長

第5章 6年間の始まり01



  ✜

6年前。ある地にて。

「さっきのお店、美味しかった!」
やっほー、と隣を歩く親友と、数時間前にチェックインしたホテルへ向かう。
「22時半かぁ...サナ、そろそろホテルに戻ろう」
「えぇっ?!まだ遊ぶー!今日は、せっかくジウちゃんと二人なんだもん!」
「あんまり夜遅くまで出歩いて、ローに怒られるの私なんだけどっ?!」

0時をすぎると電池切れのようにとたんに眠たくなってしまう彼女は、えー、と不満げな顔をする。
そんな彼女の左薬指に、甲斐性の塊みたいな指輪をかけた男は、ジウに言わせれば「独占欲と嫉妬の化身」だった。
医師として多忙を極めているのは理解できるが、150万を超えるらしいそれを「時間がない」というだけで、代理に妹と腐れ縁に取りに行かせるとは夢にも思わなかった。
そして、欠かさず毎日つけてる彼女に会うたびに、こっちがドキドキする。色んな意味で。
だから、今回の旅行を
「なんで俺とサナが2泊3日も離れなきゃいけないんだ」
「サナの頼みで同行者がお前じゃなければ行かせない」とくどくど言いながらも見送ってくれた腐れ縁の悪友には、嫌がらせも兼ねて、3時間おきに彼女の写真なり動画なりを送ってやってる。多分、本人は喜んでる。
絶対に顔には出さないやつだけど。

「まだ明日もあるんだから。ほら、お菓子買ってホテルの部屋で明日の予定立てよ」
「んー...アイスも買っていい??」「いいよ」
自分が早生まれが故に学年違いながら幼少期からの親友が、分かった、と愛らしく笑うので、すかさず写真を撮る。
「ジウちゃん、いっぱい写真撮るね」
「せっかくの記念だもん。後でアルバムにしてあげるね」
ありがとう!と腕に絡みつく頭をよしよし、と撫でてあげる。
ふふ、と嬉しそうに笑うサナに、(奴が猫っ可愛がりしたがるのはわかるなぁ)と口元が緩む。


「ねえねえ!」
突然、背後からかけられた声に、ん、と閉口する。
その声に答えようとしたサナの腕を引いて、少し影の方に隠す。
「お姉さんたち、いくつー?」
半身に振り返ると、20歳前後だろうか。若い男がふたり、歩み寄ってきた。
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