依々恋々-イイレンレン-@Shanks in 現代社長
第19章 夢のはじまり
シャンクスは2回目になるお風呂からあがると、乾燥機にかけられていた🌸の洋服一式を出して、シワにはなってなさそうだな、とタオルを巻き付けている🌸に渡す。
「本当に、あの、何から何までスイマセン」
「無理させたのは俺だからな」気にすんな、とニッと笑って、着替えたらリビングにこい、と腰にタオルを巻いたまま、自分の服を持って脱衣所を出ていく。
(お風呂では今更、なんて言ったのに)
そこは紳士なんだ、とほの温かい下着と服を着込む。
浴室を出ると、数時間前にクイズをした廊下にすりガラスから光が漏れている扉の方へ向かう。
日の差し込むリビングダイニングのちょうど中央に扉があり、左手にアイランドタイプのキッチン。
天井に3つ並ぶ照明の真ん中につけられたペンダントライトの下に6脚のダイニングセット。
右手のリビングスペースのちょうど中央に、さっきまで寝ていたソファとローテーブルがあり、キッチンと対面する壁に大型のテレビが入る壁面収納。
彼の姿がなく、扉の正面に半分だけ開けられたカーテンがフワ、と風に揺れている。
ソファの背もたれにシャツがかかっていたので、それを掴んでカーテンから外を覗くと、彼はお風呂で脱いだ緩いシルエットのパンツだけで、紫煙をあげるそれを咥えて目を閉じ、暖かい日差しを浴びていた。
「タバコ、吸うの?」
ちょっと意外、と聞くと、そうか?と首を傾げる。
「タバコの匂いなんて、全然しなかったから」
「ほお。🌸は鼻が効くのか」
差し出したシャツを着込み、香水の匂いに紛れたかな?とベランダに置いたケースに手を伸ばす。
「アーク、ロイヤル?」
初めて見る黒いケースのそれ。ソフトケースのそれを、すん、と嗅いで、あれ?と首を傾げる。
「カフェオレの匂いがする?」「そう」
吸ってみるか?と指先のそれを差し出され、無理、と首を横に振る。
「吸ったことないもん」「お、優等生だな」
優等生、という言葉に疑問を持って、ねぇ、と聞く。
「つかぬことをお伺いしますが、喫煙歴は?」
「ん?内緒ってことにしとくか」
絶対ダメなやつじゃん、と目を細める。
「昔は簡単に買えたからなぁ」
学生服でも買えた、と聞いて、だめじゃん!と驚き、お使いっつったら買えたよ、となんだか可愛い笑顔の横顔が愛しいと思った。