依々恋々-イイレンレン-@Shanks in 現代社長
第18章 臨機応変に柔軟に04❦
やっとまともに息ができるようになると、腕の中にめいいっぱい抱き込んでいる熱にハッとする。
慌てて腕の力を緩めて🌸の様子を確認すると、自分の体の下でくたりとして目を閉じている。穏やかに上下している胸とポカリと開いた口からくーくーと息が聞こえて、肘をついて額に手を当てる。
閉めるのも忘れた寝室の扉。
常夜灯が照らす廊下でコンビニの袋の中で倒れて汗をかいている紅茶のボトルと避妊具の箱。
ハァ、と溜息をつく。
「やべ」
後半は完全に理性を失っていた。
快楽を求めるのに夢中になって、我がままに🌸を求めた。
無理させたな、とゆっくり引き抜くと、一緒に溢れ出る生暖かくドロリと纏わりつく感覚。
汗ばむ額に口付ける。
よく見ると、眦に涙が溜まっていて罪悪感が一層増す。
「約束、破っちまったな」
ゆっくりする、避妊すると言ったのに、と起き上がって膝立ちになると、ベチャッとした感触がして、ん?と目を向ける。
何も言えずに、はは、と乾いた笑いだけが出た。
ライトグレーのシーツを掛けたベッドの足元側半分。
雫が落ちたような小さな滲みが点々とする跡と、到底乾くとは思えない水溜まり状態で濡れている。
なかなかの乱れっぷりだったな、と感度の高い🌸の様子を思い出すと、ヒク、と反応する。
ひとまずは拭き取れる分は拭こうとベッドから降りると、ぐちゃぐちゃになって重なる服が目に入る。
一番上にある赤。
己の別称によく言われるそれと同じ色の下着を自分のと一緒に掴むと、廊下の袋も取り上げて浴室へ向かう。洗濯機を回し、空気の冷えた浴室でシャワーを浴びると、鏡で鎖骨に残った歯型を見つけた。
10分足らずで出て下着だけ身につけると、紅茶を冷蔵庫に入れて寝室に戻る。
すやすやと裸で寝ている🌸の額にキスをして体をきれいにしてやると、無事な肌掛けで包んでリビングのソファに横たえる。
「やっぱ、ちいせぇな」
ソファでも十分にベッドとして使えそうな様子に愛しさが込み上げてもう一度キスをする。
寝室に戻ってシーツを新しいものにし、未開封状態の避妊具を、サイドチェストに入れる。
浴室横のクローゼットから部屋着の緩いシルエットのパンツとVネックシャツを着て、黒のクルーネックのリネンシャツを手にリビングに戻った。