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依々恋々-イイレンレン-@Shanks in 現代社長

第17章 臨機応変に柔軟に03 ❦


頬を紅潮させている🌸の手を引いて入り口へ向かう。
セキュリティボックスを開けて、暗証番号と静脈認証。
ガチャ、と音を立てたスライドドアが開き切る前にすり抜け、暖色のライトが照らす通路を抜けて住居者専用のエントランスに向かう。

🌸の硬い表情が、大きな花瓶に生けられた毎週変わる花で少し緩んだのを横目に見た。
「花は、好きか?」
「詳しくないけど、嫌いじゃないです」
「そうか」
今度花束でも買ってやろうか、とらしくない考えが浮かんで、どんな色が🌸に似合うかとか考えながら、住居者用ロビーに向かう。

「あ」
ピタリ、と足を止めたシャンクスを見上げ、🌸は首を傾げた。
寄るところがある、と踵を返し、社屋側に向かう。
薄暗く人気のないビルロビーを横切って向かったのは一階のコンビニ。
「🌸、ストレートとレモンとミルク、どれがいい?」
🌸が選んだレモンティーと目的のものを無人レジで会計し、住宅層行きのエレベータを呼ぶ。

誰ともすれ違うことなく自宅に帰る。
閉まった玄関ドアの音に驚いてすり寄ってきた🌸の甘い香りや柔らかい腕の感触が近くに感じられて、カッと体が熱くなる。
部屋に入ってすぐ、という程性急に進めるつもりはなかったのに、玄関で向き合った🌸と目が合った途端、せっかく今まで制してくれていた理性が簡単に崩れ去るのだった。

  ✜

「🌸...🌸っ」
幾度も彼が唇から零す自分の名前が、今までに感じたことがないほど特別なものに思えて体が震えた。
名前を呼ぶシャンクスの声が、こんなに艶っぽいなんて、と考えながら繰り返されるキスになんとか応えていた。
長く触れていた唇がようやく離れ、はぁ、と息を整えようと深く吐き出す。

「っ!!」
丈の長いシャツの裾を手繰り上げ、タンクトップも捲り上げられる。ツウ、と指先で腰から背中を撫でられて肌が粟立った。
「っぅ、あ、んん」
今度は逆方向に撫でられる。
「ぁ、はぁ...ん、や」
ゾワゾワと感じる体で、目の前のシャツをギュッと掴む。
ふ、と握り合っていた片手が離され、まるでそれが支えだったかのように力が抜けてしまう。
彼のシャツを掴んだまま、へたり、と玄関タイルに座り込んだ。
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