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依々恋々-イイレンレン-@Shanks in 現代社長

第16章 臨機応変に柔軟に02


店主の名前を冠した「小料理屋 芍薬」の料理はどれも美味しくて、レイさんこと、シルバーズ・レイリーのすすめで一杯だけ頂戴したシャクヤク特製のゆず酒が絶品だった。
料理もいただきながら、シャンクスと他愛もないことを話し、時折、レイリーやシャクヤクも交えてお酒と料理を楽しんだ。

2時間ほど滞在して、また来てね、と艷やかに笑うシャクヤクと、シャン坊をよろしくな、と言ったレイリーに挨拶して、少し熱る身体で店を出た。


「素敵なお店。お料理もお酒も美味しかったし、シャッキーさんもレイさんも楽しい方でした。」

また伺いたいです、と嬉しそうな🌸の腕を引いて、車道側に移ったシャンクスは、ほろ酔いの🌸の顔を覗き込む。
少し暗い通りに入っていて、それでもはっきりと顔のわかる距離に驚いて歩みを止めた🌸に、シャンクスの足も止まる。

「それは、また誘ってもいいってことか?」

赤らんだ顔で、もちろん、ぜひ。と笑う🌸。
ス、と向かいに立つ姿を見上げる。
ゆっくりと上げられた腕の動きを追うと、力強く抱き寄せられた。間近で見下ろした🌸の少し酒精混じりの吐息と、緩いシルエットのスキッパーシャツの広く開いた襟ぐりから、ほんのり朱に染まる胸元や肩口が見えて、吐息に熱が篭る。

「🌸、」
名前を呼び、両肩を抱いて体を離す。
首を傾げる潤んだ瞳にクラクラする。

「送り狼にはならないとは言った」
スルリ、と手を離す。

「どちらを選ぶかは、🌸の自由だ」
ゆっくりと、単語を区切るように言い、カーキーを差し出す。
「これは、親切じゃあない。」
そう言って差し出すもう一方の手には、タクシー会社の電話番号を表示したディープブルーの携帯。


大きな手に収まる、携帯とカーキー。
見上げると、じっと見下ろすブルー・グレイの瞳。
目線を下げ、2つをゆっくりと交互に見る。

一方を選べば、きっともう彼と会うことはないだろう。

タクシーに乗って、久しぶりの自宅に帰り、なんて素敵な夜だっただろうと、日常に戻る。

もう一方を選べば、それは


ゆっくりと手を伸ばす。
カチ、と爪先が触れた時、彼は静かに、分かった、と言って🌸の手を取った。

あの時の自分が間違ってたなら、今の責任は自分にあるのだろう。
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