依々恋々-イイレンレン-@Shanks in 現代社長
第16章 臨機応変に柔軟に02
「なんだシャン坊。綺麗な娘さんを連れてるじゃないか」
一緒に飲まないかい?と優しい笑顔で誘われる。
「だめよぉ、レイさん。🌸ちゃんはシャンクス君のツレなんだから」
小鉢をカウンターに置きながら、ねぇ?と柔らかに問われて、シャクヤクの言う「ツレ」の意味を理解する。
「あ、いや、違います!」
「あら、てっきりそうだとばっかり」
フラれちゃったわね、とシャクヤクに言われたシャンクスはわざとらしく肩を落とした。
「そうか、俺は弄ばれていたのか」
悲しそうな瞳を向けられて、むしろ弄んでるのはあなた、と冷めた目でシャンクスを見つめ返す。
「誂われてる記憶しかないんですけど」
「ん?自覚あったのか」
「やっぱり誂ってたんだ!弄んでるのはシャンクスさんの方でしょ」
もうやだぁ、と俯いて顔を覆う🌸の手首を掴み、冗談だって、と笑いながら覗き込んでくるシャンクスをキッと睨む。
「大人気ない!」「んー、心が若いってことで」
「減らず口!」「じゃ、黙らせてもらうか」
ほら、塞いでみろ、と少し顔を寄せてきたシャンクスに、う、と身を引く。
はっはっはっ、と楽しそうな笑い声が聞こえて、そちらを見やる。
「なんだシャン坊。楽しそうだな」
愉快、愉快と酒を煽るレイリーと、あんまりいじめちゃだめよ、と笑っているシャクヤク。
離して、と掴まれた手を引くけれど、びくともしない。それどころか、指を絡ませてくる。
「ちょっ、あの、シャンクスさん」
「飽きないやつなんだ。すぐ照れたり固まったりするから、つい、からかいたくなっちまって」
なぁ?と笑いかけられて頭を撫でられるけど、それだって🌸からしたら心臓が持たないのでやめてもらいたい。
余裕綽々か、と恨めしくてちょっと鋭く見上げたら、箸を手にとって、突き出しのキムチとクリームチーズの和え物を掴む。
その手を引き寄せて、食いついた。
「おいっ!」「っ!すっごく美味しい」
危ないだろ、と箸を抜かれた口の中でキムチの辛味と少しの酸味、クリームチーズの濃厚な甘みを味わう。
「シャクヤクさん、このお海苔、韓国のりですか?」
「あら、よくわかったね」
レシピ知りたいです、とすっかり意識を持っていかれている🌸。
呆然と左手の箸を見つめるシャンクス。
若いな、と零したレイリーの声は、飲み下した酒とともに流れていった。