依々恋々-イイレンレン-@Shanks in 現代社長
第13章 追いかけるよりも引き寄せて02
「本当にいいのか?」
勤務明けだったであろう、よく見たらスーツのままのローが、車高の高いSUVの運転席から問うてくる。
🎀は、奥の助手席ですでに船を漕いでいて、まっすぐ帰りな、と送り出そうとする。
「荷物ないし、電車でもバスでも帰れるし。余韻に浸りながら帰るよ」
冷蔵庫空っぽだから食材も買いたいし、と言う🌸は、心配だから帰り着いたらその旨連絡するようローに言われ、とうとう心配性が自分にまで及んだ、と笑う。
「お前、人が心配してやってのに」
「ローのそれは、持って生まれた性格だからしょうがないか」
恋人がこんなに可愛いんじゃね、ととうとう座席に凭れて目を閉じてしまった🎀に、お疲れ様、と笑いかける。
「あ、🎀に聞いたか?式のこと」
「なんのこと?」
知らん、とローを見やると、仕方ねぇなぁ、と寝顔の頬をつつく。
「式の日、子どもたち頼んでいいか?」
「あ、弟くん妹ちゃんたちのこと?」
そのつもりだったけど?と言うと、ならよかった、と笑うロー。
「帰り、気付けてね。みんなによろしく」
「お前もな」
車から二、三歩離れて見送ると、少し先でハザードをたいて走り去っていった。
一人、静かになった瞬間に、ふ、と息をつく。
久しぶりに🎀とゆっくり二人で過ごした。
また二人で何処かにでかけたい、と考えながら、さて。とスマホを取り出す。
🎀とモーニングをしたカフェで確認したメッセージに、まだ返信できていない。
-旅行から戻ったら、連絡くれ-
連絡くれと言われているので、連絡はしたいけれどタイミングがわからない、と下唇を指先で叩く。
気軽に、もう帰ってきてることを伝える?
このまま無視する?
それは、ちょっと、その、と一人、まごつく。
今、🎀と別れた!とさらっと言って終わりにしようか。
打ち込んだ短い文章を読み返して、送信、と押す。
「わっ」
ポン、と送られたそれに即既読がついて驚いた。
たまたま携帯を見ていたのだろうか。
返信が来るのか、それともたまたま見ただけ?と心臓がドキドキとなるのを抑える。
返ってくるかな、と携帯を見つめていると、シュッと返信が来て指先が震えた。