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依々恋々-イイレンレン-@Shanks in 現代社長

第12章 追いかけるよりも引き寄せて01


さすがにあんなキスまでしたのはやりすぎかとも思ったけれど、それでも🌸の中に何かを残せたのは明確だったので、結果オーライだ。部屋の前でのキスにも、バーでほど積極的ではなかったにしても拒絶はなかった。

何度も部屋に誘う言葉が喉のそこまでせり上がってきたけれど、親友の婚前旅行中と聞いた手前、さすがに言い出せなかった。
(言えたとしても、🌸は帰るな)
親友への過保護ぶりは何度も見たし、まだ、そこまで壁が全て取り払われたとは思っていない。むしろ、下手をすれば厚くしてしまったかもしれないけれど、拒否することはいつだって可能だったはずのキスを幾度も受け入れたのは、そうじゃない証拠だと思っている。


「あの、頭...?」
自分を呼ぶ声に、自分の世界に入り込んでいた意識がハッとして顔をあげると、自社の支部を纏めている直属の部下、支部の管理職社員、その他プロジェクトの主要社員がこちらを見ていた。

「悪い、聞いてなかった」
昨晩のパーティーでなにか?と怪訝そうにする部下に、何でもない、と首を振る。
「ちと、寝不足なだけだ」「電話の件、すみませんでした」
あの時、携帯にかけてきた社員が深々と頭を下げる。
「お楽しみのところ邪魔してしまったようで」
思わぬ言葉にぎょっとしたのはシャンクスだけではなかった。

「ち、違うぞっ!別に、そういう訳じゃない」
それで意識が逸れていたわけじゃない、と手を振るが🌸のことを考えてぼんやりしていたのは確かだ。
お前やらかしたなぁ。空気読めー。と後輩社員をからかう先輩社員たちに、業務の話ばかりでピン、と張り詰めていた会議室内の空気が程よく緩む。
本当にすいません、と言う部下に、次やったら減給な、と冗談をほざいて、それまでほとんど見ていなかった手元の資料に向き直るシャンクス。

「えー、では、改めまして資料2の6。来年度以降の...」
ぱらり、とホチキス留の資料を捲り、説明役の声に耳を傾けながら目を通す。
そこに、「官公庁」の単語を見つけて、まだ彼女の所属を聞いてないことを思い出したら、すう、っとマイク越しの声が遠く薄れていった。
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