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依々恋々-イイレンレン-@Shanks in 現代社長

第10章 酔いが回る


短時間で終わった通話は、仕事の電話だったらしく、今更、近くで聞いていてよかったのか?と🌸は首を傾げる。
しかし、目の前の本人は特に気にしている様子もなく、伏し目がちにカウンターに置いたスマホをいじっている。その間も、🌸を囲う足は降ろされることなく、2つの椅子の間で立っているしかない🌸は、シャンクスが口をつけた残りのダージリンクーラーを飲み干した。

ずっとその顔を見ていると、色素の薄いブルー・グレイの瞳が幾度が瞬いて、んー、と短く喉奥で唸って眉間に軽くしわが寄る。
何か、トラブルだろうか。

ふと、彼の右腕の時計が目に入って、とっくに日付が変わっていることに気づいた。バカンスで来ている自分たちは明日、少し移動して郊外の観光地を回る予定だが、仕事できている彼の朝は早いかもしれない。
タタタッと片手で画面を叩く指先に、今は声をかけないほうがいいか、と判断して口をつむぐ。
幾度が画面を切り替え、短文で打ってはまた画面を切り替えて今度は長文をものすごい速さで打ち込む。

ずっと彼に寄り添っているのもおかしい、と気づいてハイチェアに腰掛けようとすると、目線はそのまま、すぐ終わる、と短く言って膝で腰の辺りを押された。🌸の座っていたハイチェアのスタンドに脚をかけるので、彼の長い脚に挟まれて身動きが取れない。

画面の何かしらを確認して、指折り数えたシャンクスはスマホにロックをかけて伏せ置いた。

「悪い」
気にしてない、と首を振った🌸は柔らかく笑う。

仕事の電話になった途端、少し低くなった声と「社長」というだけある少し気の強い口調が、今まで見てきた彼と随分雰囲気が違ったのが、なんだかおかしかった。

「なんだ?」
「ううん、なんでもない」
言え、と左手が頬を撫でる。
「気になるだろ」
「ふふ。じゃあ、気にしてて」
少し強気な🌸を見つめ、ふぅん?と言ったシャンクスは、流石に戻るか、と時計に目線を移した。

部屋まで送る、と酔っている様子を一切見せない彼に、カフェがここの分のどちらかは払わせてほしいと申し出ると、しばらく思案して、貸しにしておこう、といたずらに笑った。
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