依々恋々-イイレンレン-@Shanks in 現代社長
第10章 酔いが回る
それでもくすぐろうとする🌸とじゃれ合いのようなことを続ける。確実に面白がっている様子なので、ポーズだけやめさせようとする。
「くっ、ふっ。こら、やめろ」
なんとも言えない力加減で、サワサワと触れてくる🌸がニンマリと笑っているのに気づいて、こんにゃろ、と左手でぐいっと背中を押し上げて、軽く抱き上げる。責められるのは趣味じゃない、とさっき弱いと見た耳を唇で食んで舌先で擽ってやると、途端にへにゃりと力が抜けていたずらに輝いていた瞳がとろり、と艶を増す。
🌸、とシャンクスの唇が開いたと同時に、カウンターに伏せておいていたディープブルーのそれが震えだした。反射的に睨んでしまった。
ビクッとして身を引いた🌸を、逃さないように脚の間に挟み込んでハイチェアに浅く腰掛ける。
さっきまで腰掛けていた🌸と体制が逆転すると、ちょうど目線が同じくらいになった。
その体制のまま、鳴り続ける携帯を手に取る。
「なんだ」
最高潮だった所をどん底に落とされた気分で、声も低くなる。なんとか冷静な脳の一部で、明日の業務に関わる連絡を聞き取る。
「クラウドに上げてくれれば事前に確認くらいは、っ!」
不機嫌を隠そうともせず対応していると、脚の間で大人しくしていた🌸から香る藤の香りを近く感じる。
(??)
すぐに離れたので、何だったんだ?と見ると、🌸の手には、すっかり氷が溶けてしまったダージリンクーラーが握られていた。コクリ、と目の前でそれを口に含む。
リプライがほしいという内容を聞きながら、彼女が口をつけた逆側の縁に唇を寄せると、察した🌸が少しグラスを傾けて、口内に含ませてくれた。
ガムシロップが入っているのか、甘い。
「明日まで待てないのか?ああ、分かった。あー、そっちはルゥの判断に任せる。」
うまく含めずに溢れた雫を掬った細い指先を舐め取ると、さっと手を引いて真っ赤になる🌸に、邪魔された事など忘れていた。