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依々恋々-イイレンレン-@Shanks in 現代社長

第10章 酔いが回る


驚きのせいか、酔いのせいか。
最至近距離で見開かれた瞳に、自分だけが映っているのを確認して、重ねた唇の角度を変える。
(押し返されるか、叩かれるか)
音を立てずに軽く唇を吸い上げると、ギュッと🌸の瞼が閉まる。

「っ!?」
結構な力でシャツの襟を引かれて、シャンクスは背もたれを掴んでいた手をバーカウンターについた。
途端、下唇をすぅ、と濡れた感触でなぞられて、ソレが🌸の舌だと気づいた時には、今度は自分が微弱な力で唇を吸い上げられ、今宵だけで何度も感じていた熱が最高温まで煮え滾る。


クチュ、と舌を絡める音がする。
3つ離れた席に座っていた男はすでに退店の手続きをしており、その対応をするカウンター内にいたバーテンからは、少し湾曲して作られたそれの奥に席を取ったシャンクスと🌸の様子は見えていない。

二人の他には空席の空間で、互いの唇を貪る。
シャンクスの袷を掴んでいた🌸の手がシャツの袖に移動している事に気づいて、その手を絡め取る。
ようやく離れた唇を薄く開き、細く息を吐いた🌸の頬に自分の頬をあて、細い肩を抱き寄せた。熱を持つ耳を唇で食むと、ぁ、と小さく声を上げるので、気分が良くなる一方だ。

バーテンダーが客に捕まってるのをいいことに密事に近い行為を続ける。
🌸、と吐息のような声で名前を呼ぶと、ん、と睫毛を震わせて薄く目を開く。密着していた身体をほんの少し離して、潤んだ瞳に自分だけが映っているのを確認する。

🌸の温かい頬にヒタリと付けた左手を、🌸の右手が包む。
「手、温かいのね」
「酒を飲んだからな」
指先で頬を撫でられる感触が気持ちいいのか、猫のような仕草で擦り寄る。

ス、と頬を滑った手を手放すのが惜しくて、掴んだまま指先で手のひらの厚みを確認したり、体温を確かめたりして触れていく。
ツゥ、と手のひらから二の腕の内側を指先で撫でると、頭上から、短い笑いが漏れる。
「くすぐったい?」
少し、と笑った彼がすごく幼い表情で、笑顔がカワイイのね、と口走ると、ちょっと驚いたような顔をして誂うなよ、と腕に滑らせていた手を温かい手のひらで包む。
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