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依々恋々-イイレンレン-@Shanks in 現代社長

第10章 酔いが回る


🌸がロンググラスに入ったダージリンクーラーを飲み干すまでにシャンクスは2回、ウイスキーを注ぎ足していた。
ドクドクと脈動を感じる自身の首筋に触れて、はあ、と深く息を吐く。

「酔ったのか?」
誂った顔で笑うシャンクスを、横目に睨む。

「だから、初めに強くないって言っておきましたよね」
「ここまでとは思わなかった」
「いや、シャンクスさんが強いんですよ」

バーテンダーにチェイサーを頼んでくれるのを横目に、二人の間に置かれた小皿に乗るオリーブの実をパクリと食べる。
「特別強くはない。酒を飲むのが好きってだけだ」
ダウンライトなので少し薄暗いバー内で目を凝らすと、確かにシャンクスの顔は少し赤らんでいるように見える。

どうぞ、と置かれたお水の入った洒落たグラスを頬にあてると目を閉じる。

(きもちいい)

火照った頬を冷まして、しばらくぼんやりとしていると小さな振動音が聞こえた。バッグから携帯を取り出して自分の携帯ではないことを確認すると、シャンクスも同じようにディープブルーのそれを見ていた。
仕事の電話だ、と席を立つ。その動きを目線で追うと、少し待っててくれ、と右手の甲で頬を撫でられて、ドキリとする。
(温かい、手)
お酒もそれなりに飲んでいたし、先に耳に触れた左手の指先も温かかった。
また、悪友の言葉を思い出す。

  裏社会と繋がりが深い

目の前のグラスを空にし、バーテンに声をかける。
「チェックしてください」
クラッチから財布を取り出して待っていると、伝票を確認しに行った若いバーテンダーが奥の一人に確認して困ったように戻ってくる。

「あの、こちらの二席分は部屋付とするよう賜っているのですが」

部屋付?と会計先を聞くと、これから帰る部屋よりも高層階の部屋番号。

どうしましょうか?と困った表情のバーテンダーに謝って、財布から数枚の紙幣を取り出して小さく畳む。
財布をバッグにしまって、紙幣を手の中で隠すように握り込むと、バー入り口の少し先で立っている背中を見つめた。
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