依々恋々-イイレンレン-@Shanks in 現代社長
第58章 新しい道へ
式の開始まで15分を切った頃、リストを捲りなおす🌸。
「どうした?」
「一人、来てない...」
誰だ?と受付済みの氏名にマーカーか引かれたリストを覗き込む。
「チェック忘れか?」
「ちょっと待って」
ボックスにまとめたご祝儀と突き合わせ、数は合ってる、と唇を撫でる。
「誰だ?」
「🎀の勤務先の同僚の先生みたい」
どうしよう、と言う🌸。
「す、すいませーん!」
少し先から聞こえた声に、入口の方へ目を向ける。
「あの、🎀さんの結婚式に参列する予定でっ」
目の前で、段差に蹴躓いた女性。
「っあっぶねぇ」
咄嗟に腕を引いたシャンクスに、すいません、とズレた眼鏡を正す。
「あれ?シャン君?」
「あ?」
久しく呼ばれた記憶の無い呼び方に、見上げる彼女を凝視する。
「ああ、やっぱり!
シャン君ですよね。ご無沙汰しています」
へら、と笑う彼女の瞳の色に、ドクリ、と心臓が強くなった。
「って、さすがにもう覚えてないですかね?」
ありがとうございます、と立ち上がったブロンド碧眼の彼女。
「🖤...」
シャンクスの掠れた声に、ほえ?と見上げて、やだなぁ、と肩を叩く。
「🖤は姉さんですよぉ!
私、ラリアです!妹の方の」
お元気でしたか?と笑顔で言う彼女に、呆然と立ち竦むシャンクス。
「おま、え、なんで」
「シャン君こそ!
私、今日ココで挙式を挙げる新婦さんと同僚なんですよ。
いやぁ、参りました!
間違えて系列の違うチャペルに行ってしまいまして、直前に気づいて、慌ててタクシーとっ捕まえてきましたよ!」
失敗、失敗!と明るく笑う彼女の指先には絆創膏が貼られている。
「シャン?」
どうしたの?と側に来た🌸の声に、ハッとしてラリアの腕を離す。
「あっ、受付しなきゃですね!
えっと御祝儀を...」
ハンドバッグとともに持つサブバッグを開こうとして、彼女の手から荷物が落ちた。
「あわわっ」
「大丈夫ですか?」
咄嗟に拾い集めた🌸に、すいませんっすいません、と謝る。
「もう、ほんっとに私ドジで...
ああ、すいません、本当に」
🌸から散らばった荷物を受け取る。
受け取ったコンパクトの端が欠けたことに気づき、あちゃー、と彼女は頭を掻いた。