依々恋々-イイレンレン-@Shanks in 現代社長
第58章 新しい道へ
✜
会場のロビーに戻ると、振り袖を着た🌸より少し若く見える、茶髪の女性が手を振っていた。
「ラミ!」
艶やかな着物に、振り袖いいねぇ、と笑う。
「🌸ちゃん、久しぶりね」
「ご無沙汰しております」
そのすぐ後から、彼女とよく似た黒留袖の妙齢の女性とモーニングの男性が来る。
男性の顔つきに、ローの両親と妹だと気づいた。
子どもたちの後ろに居たシャンクスに会釈をする。
「紹介します。
私がお付き合いをしていただいている方で、フィガーランド・シャンクスさんです。
ロー君とも知人で、仕事で交流があるそうです」
🌸の紹介に、おめでとうございます、と笑顔で挨拶をする。
よろしく、と返したローの父親に、(愛想のいいローって感じだな)とひとり密かに笑う。
「じゃあ、🌸ちゃんもそろそろ、かな?」
うふふ、と笑うローの母。
「まだお考えでない?」
にこやかに見上げてくるローの母に、そろそろ考えたいですけどね、と🌸に投げた目線は、サラリと流されてしまった。
✜
「ああ、やはり、ご存知で...」
「クロッカス先生とは、分野は違えど色々と勉強させてもらっているよ。
ならば、呼吸器に疾患が?」
「いえ、自分ではなく...娘が、」
「娘さんがいるのかい?」
驚いたような顔のローの父に、ええ、まあ、と頷く。
「血縁はないですが、小学6年生の子がひとり。
🌸とも友達で、懐いているようです」
ローの父は少しの沈黙の後、笑って、そうかい、と返した。
「シャン、そろそろ受付に戻らないと」
抱っこしていたハナをリナに預け、ローの両親に、失礼します、と断って受付と向かう。
✜
「で、いつにする?」
「なにが?」
招待客のリストを見ていた🌸がキョトンと、見てくる。
「挙式をするなら、やっぱり6月か?」
ジューンブライトだもんな、とディレクターズジャケットのボタンを外す。
「ん?え?何の話?」
パールのイヤリングの位置を正してやりながら、そりゃあ、と軽く耳を擽る。
「んゃ」
「俺たちのだろ」
ふえ?と呆けた声を出す🌸。
「純白のドレスか白無垢か...どっちもいいな」
真っ白なヴェールがよく映えるであろう黒髪をそっと撫でた。