依々恋々-イイレンレン-@Shanks in 現代社長
第58章 新しい道へ
✜
シャンクスと会場のチャペルに戻ると、ローの後輩や互いの職場の仲間などの招待客が、入口に集っていた。
なんだろう、と少し遠くから見ていると、それに気づいたローの後輩が近寄ってきた。
「久しぶりね。シャチ、ペンギン、ベポ」
お久っす~、と軽い挨拶のシャチが奥を指す。
「なんか面白い企画やってますよ」
「🌸さんも書きましょ」
「みんなも書くぞ!」
3人に勧められてそこへ向かうと、2体のトルソーが置かれていた。
それらは、ローの白衣と🎀が仕事で使うエプロンをつけていて、すでにカラフルに書き込みがされている。
デカデカと「祝!ケッコン シャチ&ペンギン&ベポ」と書かれている白衣。
書いた3人が、お絵かきしようぜ、と子どもたちを誘う。
「面白いことを考えたな」
感心しているシャンクスに、本当に、と同調する。
ベポに抱き上げられ、ローの白衣の襟にハートマークを描くハナ。
本当に書いていいの?とシャチに聞いて、いっぱい書け!と囃し立てられてペンを取るリナ。
ペンギンは、白衣の胸元に書き足す。
「🌸さんも!」
書くとこなくなりますよ!と呼ばれて、赤のカラーペンを受け取る。
「なに書こう?」
お祝いの言葉を中心に書き込まれている言葉やイラスト。
はい!とハナにピンクのカラーペンを渡されたシャンクスが、俺もか?とトルソーの前に立つ。
「よし」
何か思いついたのか、シャンクスは白衣を着たトルソーの後ろに回る。
口でペンのキャップを開け、右手で布地を張ると、まだ何も書かれていない背中の裾にペンを走らせた。
Ich gratuliere Ihnen beiden zu Ihrer neuen Zukunft.
最後に自身のサインを書き込み、スペル合ってるよな、と読み上げる。
「英語?」
読めない、と首を傾げるリナに、ドイツ語だ、と教えてやる。
「『二人の明るい未来に祝福を』という意味だ」
ローならドイツ語わかるだろ、と笑う。
「お兄さん、ドイツ語わかるの?」
「ちょっと医学を調べていた時期があってな。
簡単な読み書きしかできんが」
リナへの回答に、読めるだけですごい、という🌸に、惚れたか?と戯けてみせた。